ルバイヤートとは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 08:11 UTC 版)
「ウマル・ハイヤーム」の記事における「ルバイヤートとは」の解説
「ルバイヤート」とは、「四行詩」を意味するペルシア語「ルバーイー」の複数形である。9世紀半ば以降のペルシア文学の中でペルシア詩最古の独自の詩形とされる。 ルバーイーは、長短の母音の配列に基づくアラビア語韻律を土台とするペルシア詩の伝統的な韻律学では、「ハザジ」体の一部として説明されている。ルバーイー韻律自体はアラブ詩には存在しない。詩形としてのルバーイーでは、四つある半句の、第一句、第二句、第四句は必ず脚韻をするが、四句すべてが脚韻するものもある。対句(半句二つで一つの対句を形成する)が二つのまとまりで詠まれるドベイティー(二行詩)もあるが、通常、四行詩とは韻律上区別される。ルバーイー韻律の半句四つで、一つのまとまった詩的世界を生み出すように詠まれた詩形が四行詩(ルバーイー)で、この四行詩が集められたものが四行詩集(ルバイヤート)である。 13世紀のペルシア詩韻律の研究書『ペルシア詩の韻律総論』は、ペルシア詩人ルーダキーによるルバーイー詩形の発見の経緯を伝えるとともに、ルバーイーという詩形が、民謡としての要素が強い点も指摘している。近年での研究は、西暦800年代、このルーダキーより少し前、スーフィーたちが、音楽や詩を用いた集会「サマーウ」でルバーイーを好んだとし、路地や市場で詠まれる民謡、あるいは「詠み人しらず」の詩として紹介していたという事実を報告している。 ルバーイーは、古典定型詩の中でも、とりわけ、その短く簡潔な形態ゆえに、瞬間的に転換する詩人の心の動きをそのまま詠いやすい詩形である。詩の形式上の取り決めに対して、詩の想念が優先する詩形ともいえる。詩的な経験は瞬時にルバーイーとなって詠われたのである。ルバーイーの集大成であるルバイヤートの芸術性は、ハイヤームの『ルバイヤート』によって最高度に高められたと言えるだろう。
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