モールス通信士の出現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 01:34 UTC 版)
19世紀初頭に、電気的手段により情報を送受する各種の技術が出現した(電信#歴史)。これらの中から主流となったのは実用的なモールス式である。これは短点と長点から成るモールス符号で文字を表わし、それを電気的手段で送受する方式である。 モールス通信は、送信は片手首による電鍵の操作であり、また受信では聴覚のみ働かせればよく、電文を見たり書いたり、あるいは機器を調整したりしながらでも通信できる。これ以外のシステムは表示を注視しながら両手を動かすような操作方法が多く、また複雑な割には通信速度の遅いものも多かった。 オンとオフとを表示する何らかの手段があれば、モールス符号を用いて情報交換を行なうことができる。後述する無線通信も、符号に従い電波を断続することから始まった。モールス通信の技能は、有線電信による電報の送受以外にも広く使われるようになった。 実用的なモールス通信ができるまでには数ヶ月の訓練を要する。この技能を用いる通信士という職業は、19世紀後半には世界中で成立していた。また海底ケーブルによる大陸間通信に従事する者も出現する。国境を越える電気通信を行なうために、運用面・技術面での国際的な統一基準を制定する動きも始まった(ドイツ=オーストリア電信連合)。 20世紀に入ると、電文を自動的に受信できる印刷電信機が実用に供される。送信側では電鍵ではなくタイプライターと同様の鍵盤 (入力装置)で情報を送るようになり、有線の手動モールス通信 は、先進国では二次大戦後には姿を消し、21世紀の現在では途上国においても消滅している。
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