モーラ数による韻律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/12 18:20 UTC 版)
「インド古典詩の韻律」の記事における「モーラ数による韻律」の解説
モーラ数による韻律はジャーティ(jāti)と呼ばれる。この韻律ははじめ中期インド・アーリア語で伝えられた仏教やジャイナ教の経典に使われ、サンスクリットではパタンジャリ(紀元前2世紀ごろ)にはじめて見られる。 通常4モーラをガナとする。ガナには長長・長短短・短短長・短短短短・短長短の5種類があるが、最後の短長短は出現箇所が決まっている。音節による韻律のガナが単なる記憶の補助に過ぎないのに対し、モーラ数による韻律ではガナは西洋の韻文における韻脚に相当する機能をもつ。 アーリヤー(Āryā)は2つの句から構成され、1句めは30モーラ、2句めは27モーラから構成される。第1句は4モーラからなるガナが7つと、最後に1音節(2モーラと勘定されるが、実際には長短を問わない)から構成される。第3ガナの後にカエスーラが置かれる。短長短のガナについては制約があり、奇数番目のガナでは使ってはならない。第6ガナは短長短または短短短短のいずれかでなければならない。2句めも1句めと基本的に同じだが、第6ガナが1モーラのみ(短)になるため、3モーラ少なくなる。 アーリヤー以外の韻律には Udgīti (27 + 30)、Upagīti (27 + 27)、Gīti (30 + 30)、Āryāgīti / Skandhaka (32 + 32、アーリヤーの第1句と同じだが、句の最後が2モーラではなく4モーラになる。句の最後の音節は常に長いとみなされるため、長長または短短長の2種類が許される) などがある。 モーラによる韻律は古典以降の詩でも用いられている。たとえばアパブランシャおよび現代インド諸言語の詩で使われるドーハー(dohā)という韻律は4句からなるが、奇数句が13モーラ、偶数句が11モーラから構成され、偶数句末で脚韻をふむ。またヒンディー語の詩でもっともよく使われるチョーパーイー(caupāī)は16モーラの句4つから構成される。
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