モノユビキチン化とポリユビキチン化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 03:38 UTC 版)
「ユビキチンリガーゼ」の記事における「モノユビキチン化とポリユビキチン化」の解説
ユビキチンによるシグナル伝達は、メッセージの特異性をユビキチンタグの多様性に依存している。タンパク質は、単一のユビキチン分子によるタグ付け (モノユビキチン化) がなされる場合と、さまざまなユビキチン分子の鎖によるタグ付け (ポリユビキチン化) がなされる場合がある。E3ユビキチンリガーゼは、単一のユビキチンを付加する場合と同様にポリユビキチン化も触媒し、基質に付加されたユビキチン分子のリジン残基が新たなユビキチン分子のC末端へ攻撃を行う。一般的な、ユビキチンが48番のリジン残基 (K48) を介して結合しているタグでは、タグが付加されたタンパク質はプロテアソームへ運ばれ、その後分解される。ユビキチンに存在する7つのリジン残基の全て (K6、K11、K27、K29、K48、K63) に加えて、N末端のメチオニンもポリユビキチン化に利用される。 モノユビキチン化は、膜タンパク質のエンドサイトーシス経路と関連している。例えば、上皮成長因子受容体 (EGFR) の1045番のチロシン残基がリン酸化されると、RING型E3リガーゼc-CblがSH2ドメインを介して呼び寄せられる。c-CblはEGFRをモノユビキチン化し、それが受容体の取り込みとリソソームへの輸送のシグナルとなる。 また、モノユビキチン化は細胞質のタンパク質の局在を調節する。例えば、E3リガーゼMDM2はp53をユビキチン化するが、K48ポリユビキチン化がなされたものは分解され、モノユビキチン化がなされたものは核へ輸送される。これらのイベントはE3リガーゼの濃度に依存的であり、E3リガーゼ濃度の調節がタンパク質の恒常性と局在の制御に利用されていることを示唆している。
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