メッシュ_(漫画)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > メッシュ_(漫画)の意味・解説 

メッシュ (漫画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/23 10:24 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

メッシュ』は、萩尾望都による日本漫画作品。漫画雑誌プチフラワー』(小学館)にて1980年夏の号から1984年6月号まで連載された。

概要

パリを舞台に、母親に捨てられ、父親に憎まれている少年・メッシュの放浪と成長、父親との対立を描いた連作短編。

父親ときずなを取り戻すも結局捨てられる少年の物語『訪問者』(『プチフラワー』1980年春の号)[1]に続いて描かれた作品[2]で、父親にアンビバレントな感情を抱く少年を描く。父親と息子の対立を主題とする[3][4]一方、主人公は男性なのに女性の名を持ち、女装を楽しみ、同性愛者に言い寄られるなど、性同一性の混乱・あいまいな性という副題が全編を通して存在し、後年の『マージナル』・『残酷な神が支配する』に通ずるものがある。萩尾望都作品では初めてベッドシーンが描かれ、キスシーンも多い。

作者の転換期の作品で、初期の細かい挿話を積み重ねるように描く構成から、旧来の漫画に見られるような平明な構成に変化している。シリアスな話の中にユーモアを織り交ぜている。同時に画風も、手塚治虫の影響を受けた柔らかなものから、硬質でリアルな筆致に変化している[5]

作品

  1. メッシュ(『プチフラワー』1980年夏の号)
  2. ルージュ(『プチフラワー』1980年秋の号)
  3. 春の骨(『プチフラワー』1981年初夏の号)
  4. モンマルトル(『プチフラワー』1981年夏の号)
  5. 革命(『プチフラワー』1981年秋の号)
  6. ブラン(『プチフラワー』1981年冬の号)
  7. 耳をかたむけて(『プチフラワー』1982年5月号)
  8. 千の矢(『プチフラワー』1982年7月号)
  9. 苦手な人種(『プチフラワー』1982年9月号)
  10. 謝肉祭(『プチフラワー』1983年3月号)
  11. シュールな愛のリアルな死(『プチフラワー』1984年6月号)
  • 番外編
  1. Plan de Paris(『春の骨 メッシュ2』小学館1982年1月
  2. Movement I(『革命 Revolution メッシュ3』小学館、1982年8月
  3. Movement II(『プチフラワー』1983年5月号)
  4. Movement III(『謝肉祭 メッシュ6』小学館、1983年11月

登場人物

フランソワーズ・マリー・アロワージュ・ホルヘス(メッシュ)
本名が女性らしい女性名であるため、自他ともにメッシュと呼ぶ。
愛称の由来は金に一部銀が混じった特徴的な髪色。第二次性徴で発現した父方祖父からの遺伝で、ホルヘスの息子であることを裏付ける証拠となった。
感情が不安定。2歳のときに母親が駆け落ちすると、実子かどうか疑った父親によってスイスの寄宿学校に入れられる。のちに父親は実子だと認めたが、メッシュを放っておいた過ちを母親に転嫁したため、父親を憎悪するように。14歳のときから家出している。
ミロン・ファレル
贋作(がんさく)画家。怪我(けが)をしたメッシュを拾い、そのままアパートで同居させる。
周囲の人に疎まれていた過去があるが克服している。
ルイ・シラノ
アパートの住人。ミロンの階下に住む医者。
エレーヌ
アパートの向かいに住むタイピスト。ルイの恋人。
ラカン画廊の主人
ミロンのお得意先。
カティ
ミロンの恋人。
ドルー
ギャング。ミロンに拾われる前にメッシュが居候していた。
バン
ドルーのボスでサムソンと組んでいる。ギャング。
ジャン・サムソン・ホルヘス
メッシュの父。ギャング。メッシュを支配しようとする。
エーメ・ホルヘス
ホルヘスの後妻でメッシュの義母。メッシュを心配している。
マルセリーナ・ルビエ(マルシェ)
メッシュの母親。現在は心を病んでいる。

舞台劇

Studio Lifeにより2005年6月15日 - 7月4日までシアターサンモールで舞台化された。脚本・演出は倉田淳

キャスト

脚注

  1. ^ 「親と大げんかしているとき、『訪問者』とかの頃です。ちょっと暗くなるんですよ。」と語られている(『imago(イマーゴ)』(青土社)1995年4月号「特集 少女マンガ」の巖谷國士との対談(「少女マンガという装置」)より。)。
  2. ^ 『訪問者』は『トーマの心臓』の番外編で、オスカー・ライザーがシュロッターベッツ・ギムナジウムにやって来るまでが描かれており、本作品とはストーリー・登場人物とも無関係。
  3. ^ 両親との不和が高じて大げんかし、内なる親から解き放たれるために親殺しをテーマに本書を描いたということが、『AERA』2006年5月1日-8日合併増大号「萩尾望都 少女漫画が文学を超えた日」に記されている。
  4. ^ 『imago(イマーゴ)』(青土社)1995年4月号「特集 少女マンガ」の巖谷國士との対談(「少女マンガという装置」)にも、『訪問者』の頃に親と大げんかしガックリきて、「まあとにかく親と決裂したので変な親子の話を描いてやろうと。『メッシュ』ですね。ここでやっと私は親と対決する話を描くハメになるんですね。なぜ対決するかというと、理解したいから。」と語られている。
  5. ^ 画風の変化について作者は、「1980年は、『訪問者』『メッシュ』を描いていた頃です。その前あたりから、絵が変わってきました。『ポーの一族』のような、頭が大きく、手足の細い、子供体型から、少し、頭が小さく手足が長くなっています。実際の人物に、近づけたい。そう描きたいが、その描き方に、まだ、なれていなくて、バランスが悪いなあと思いつつ、人物を描いていました。」と記している(『金銀砂岸』(株式会社ブッキング 2006年)作者あとがきより)。

外部リンク


「メッシュ (漫画)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「メッシュ_(漫画)」の関連用語

メッシュ_(漫画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



メッシュ_(漫画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのメッシュ (漫画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS