ミラーマターの観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/13 15:11 UTC 版)
もしミラーマターが宇宙に十分な量で存在するなら、その重力効果を検出することができる。ミラーマターは通常の物質に類似するものなので、ミラーマターの一部はミラー銀河、ミラー星、ミラー惑星などの形態で存在することが期待される。これらの物体は 重力 マイクロレンジングを用いて検出することができる。また、宇宙の星のいくつかはそれらの伴星としてミラーマターを持つことが期待される。そのような場合、星のスペクトル中に周期的なドップラー偏移を検出することができる。そのような効果はすでに観測されているといういくつかの兆候が見られている。 もしミラーマターが実際に存在するが、その量はほぼゼロに近いとするとどうなるであろうか。磁気単極子と同様に、ミラーマターは宇宙のインフレーション期に観測不能なまでの低密度に薄められたと考えられる。シェルドン・グラショーは、ある高エネルギースケールにおいて通常の物質およびミラーマターと強い相互作用をする粒子が存在すれば、放射補正は光子とミラー光子の間の混合を導くであろうことを示した。この混合はミラー電荷の値として非常に小さい通常の電荷を与える効果を持つ。この他の効果として、光子–ミラー光子混合はポジトロニウムとミラーポジトロニウム間の振動を含む。この時、ポジトロニウムはミラーポジトロニウムに変化し、それからミラー光子に崩壊する。 光子およびミラー光子間の混合は、ツリーレベルのファインマンダイアグラムの中に存在しうるか、もしくは通常のチャージとミラーチャージをともに持つ粒子の存在に起因する量子補正 (quantum correction) の結果として生じうる。後者の場合、量子補正は一つと二つのループレベルのファインマンダイアグラムにおいてゼロにならなければならず、さもなければ予測された動力学的混合 (kinetic mixing) パラメータの値は実験的に許容されるものよりも大きくなるであろう。この効果を計測する実験が現在計画されている。 もしミラーマターが宇宙に多量に存在し、光子–ミラー光子混合を経由してそれらが通常の物質と相互作用をするならば、DAMA/NaIおよびその後継のDAMA/LIBRAのような暗黒物質の直接検出実験において検出されうる。実際、それは依然として他の暗黒物質実験の否定的な結果と矛盾はしていないが、陽性のDAMA/NaI暗黒物質信号を説明することのできる数少ない暗黒物質候補の一つである。また、ミラーマターは電磁場侵入 (penetration) 実験においても検出されうる。そして、惑星科学に対する影響を与えるだろう。 ミラーマターはGZK問題に対してもまた関与しうる。ミラーセクター中の位相欠陥は通常のニュートリノに振動(変化)するミラーニュートリノを生成しうる。GZK限界を回避する他の可能な方法は中性子–ミラー中性子振動を経由することである。
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