ミニアチュールと縁飾り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/06 19:45 UTC 版)
「トリノ=ミラノ時祷書」の記事における「ミニアチュールと縁飾り」の解説
『トリノ=ミラノ時祷書』のページのサイズは284mm x 203mm程度である。ほとんどすべてのページに挿絵が描かれており、4行のテキストの上に主たるミニアチュールが、ページ下部に細長い小さな挿絵があるという形式となっている。ほとんどのミニアチュールが、そのページのテキストの最初の部分を表現したもので、テキストの最初の文字は飾り文字、あるいは精緻な装飾を施した四角形のなかに書かれている。ページ下部の挿絵は、宗教的題材または旧約聖書に題材をとったメインのミニアチュールとなんらかの関連を持つ、当時の生活風景が描かれていることが多い。 縁飾りには一つの例外を除いて、シンプルなデザインで、木の葉を様式化したものが全般にわたって使用されており、縁飾りのほとんどは、制作開始初期の14世紀の時点でほとんど完成していた。縁飾り部分の制作は、工房の若手芸術家や下請けの職人が行った可能性がある。最初期に完成したページの縁飾りには、ミニアチュール作家による小さな天使、動物(多くは鳥)、人物などが描かれていた。しかし後年になってから完成したページの縁飾りには、このような装飾はほとんど描かれていない。 前述の一つの例外となっている縁飾りが使用されていたのは、「画家 H」による聖母子が聖女たちに囲まれている場面 (Virgo inter Virgines) が描かれているページだったが現存していない。このページに使用されていた縁飾りは、1430年以前に描かれていた他のページと同じような縁飾りを一部そぎ落として、15世紀後半の様式による華麗な装飾で上描きされている。これはおそらく、もとの縁飾り部分に当時の所有者の肖像が描かれていたためで、その肖像の痕跡も確認することができる。
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