マーチ・761とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > マーチ・761の意味・解説 

マーチ・761

(マーチ・761B から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 15:51 UTC 版)

マーチ・761/761B
1976年ドイツGPで761をドライブするブランビラ
カテゴリー F1
コンストラクター マーチ
デザイナー ロビン・ハード
先代 マーチ・751
後継 マーチ・771
主要諸元[1][2]
シャシー アルミニウムモノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン、アウトボードスプリング
サスペンション(後) パラレル・ロワーリンク、ツイン・ラジアスロッド、アウトボードスプリング
トレッド 1420mm/1475mm
ホイールベース 2770mm
エンジン フォード・コスワースDFV 2993cc V8 NA
トランスミッション ヒューランドFG400 5速 MT
重量 576kg
燃料 ダッカムス
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム マーチ・エンジニアリング
ドライバー ヴィットリオ・ブランビラ
ロニー・ピーターソン
ハンス=ヨアヒム・スタック
アレックス・リベイロ
イアン・シェクター
出走時期 1976 - 1977
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
通算獲得ポイント 19
初戦 1976年ブラジルGP
初勝利 1976年イタリアGP
最終戦 1977年日本GP
出走 優勝 表彰台 ポール Fラップ
33 1 1 1 1
テンプレートを表示

マーチ・761(March 761)は、マーチ・エンジニアリング1976年のF1世界選手権用に開発したフォーミュラ1カーである。デザイナーはロビン・ハード

概要

アメリカ西GPまでのインダクションボックスが大型の仕様

F2用のマシン、“762”を改造して製作された[3]。スポーツカーノーズの先端から伸ばされたスポイラーとエンジンの横に立て置きされたラジエターなど、751までのモデルを踏襲。市販マシンゆえのシンプルな構造[4]と、軽量化されたシャシーとロングホイールベース化によりフェラーリに劣らぬスピードを記録した[3]。第4戦スペインGPからはレギュレーションの変更に伴いインダクションボックスが小型化された。

シーズン終了後に1号車をベースにして製作された6輪車“2-4-0”が発表されたが、数度のテストが行われたのみで、実戦に投入されることはなかった[3]

1977年は改修型の761Bが登場した。

戦績

1976年

シティバンク・カラーのピーターソン車(1976年イタリアGP

1976年は前年のレギュラードライバー、ヴィットリオ・ブランビラハンス=ヨアヒム・スタックのほか、ブラジルGPよりロニー・ピーターソンが加入。シーズン途中にアルトゥーロ・メルツァリオが加わるなど常時3〜4台のエントリーで、ブランビラ車にベータ、ピーターソン車にシティバンクなど各ドライバーごとに異なるスポンサーがついていた[5]

ピーターソンがオーストリアGPでポールポジションを獲得、イタリアGPで優勝。スタックが8ポイントを獲得し、マーチはコンストラクターズランキング7位に入った。

1977年

1977年仕様の761
ウィリアムズから出走した“BELLE-VUE”カラーの761

1977年はワークスチームとメルツァリオ設立のチーム・メルツァリオが761Bを使用。前年型の761はウィリアムズなどのプライベートチームが購入して出走した。このうち、ウィリアムズのマシンはイタリアGPでスポーツカーノーズに替えてウイングノーズを装着する[6]など独自の改造を施していた。

ワークスチームはエースドライバーにイアン・シェクター、セカンドドライバーにアレックス・リベイロという布陣[3][7]で、シェクター車のスポンサーはロスマンズがついた。シェクターはオランダGPから新型の771に乗り換え、リベイロは最終戦日本GPまで761Bを使用した。

ハードがF2での活動を優先したためほとんど開発が行われず成績が低速[3]、ウィリアムズのパトリック・ネーヴェがイタリアGPで7位に入ったのが最高位で、獲得ポイントが0という結果に終わった。マーチはこの年限りでF1活動を一旦停止する。

ギャラリー

F1における全成績

ワークス

(key) (太字はポールポジション、斜体はファステストラップ)

シャシー タイヤ No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ポイント 順位
1976 761 G BRA
RSA
USW
ESP
BEL
MON
SWE
FRA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
CAN
USA
JPN
19 7位
9 ブランビラ Ret 8 Ret Ret Ret Ret 10 Ret Ret Ret Ret 6 7 14 Ret Ret
10 ロンバルディ 14
10 ピーターソン Ret 10 Ret Ret Ret 7 19 Ret Ret 6 Ret 1 9 Ret Ret
34 スタック 4 12 Ret Ret Ret 4 Ret 7 Ret Ret Ret Ret Ret Ret 5 Ret
35 メルツァリオ DNQ Ret Ret DNQ 14 9 Ret
1977 761B G ARG
BRA
RSA
USW
ESP
MON
BEL
SWE
FRA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
USA
CAN
JPN
0 NC
9 リベイロ Ret Ret Ret Ret DNQ DNQ DNQ DNQ DNQ DNQ 9 DNQ 11 DNQ 15 8 12
10 シェクター Ret Ret 11 DNQ Ret Ret NC Ret Ret Ret
10 スタック Ret
10 ヘントン 10

ノンワークス

(key)

チーム シャーシ タイヤ No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
1977 ARG
BRA
RSA
USW
ESP
MON
BEL
SWE
FRA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
USA
CAN
JPN
ウィリアムズ 761 G 27 ネーヴェ 12 10 15 DNQ 10 DNQ 9 DNQ 7 18
チェスターフィールド・レーシング 30 ランガー 14 Ret 10
RAMレーシング/F&Sプロパティ 32 コザロウィツキー DNQ DNPQ
32 ブリークモレン DNQ
33 ハイエ Ret DNQ DNQ 15 DNQ DNQ
33 サトクリフ DNPQ
ブリティッシュ・フォーミュラ1・レーシングチーム 38 ヘントン DNQ DNQ DNQ
38 ドライバー DNQ
チーム・メルツァリオ 761B 37 メルツァリオ Ret DNQ 14 Ret Ret DNQ DNQ

脚注

  1. ^ AUTO SPORT Archives 『日本の名レース100選 001 '76 F1イン・ジャパン』 三栄書房、2006年、38 - 39頁。
  2. ^ 『Formula 1 JAPAN Grand Prix 1976&1977』 山海堂、1999年、19頁。
  3. ^ a b c d e 『Formula 1 JAPAN Grand Prix 1976&1977』42頁。
  4. ^ 『F1 MODELING 1976年富士F1グランプリ』 東邦出版、2008年、24頁。
  5. ^ 林信次 『F1全史 1976 - 1980』 ニューズ出版、1993年、27頁。
  6. ^ 大串信 「意匠万華鏡 〜愛すべき試行錯誤〜」 第18回 『GRAND PRIX SPECIAL』(ソニーマガジンズ)2012年6月号、91頁。
  7. ^ 『AUTO SPORT YEAR '77/'78』 三栄書房、1978年、66頁。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マーチ・761」の関連用語

マーチ・761のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マーチ・761のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマーチ・761 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS