マルテンサイト系の工業的発明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 15:56 UTC 版)
「ステンレス鋼の歴史」の記事における「マルテンサイト系の工業的発明」の解説
詳細は「マルテンサイト系ステンレス鋼#歴史」を参照 マルテンサイト系ステンレス鋼の場合は、その発明者には、イギリスのハリー・ブレアリーの名が第一に挙げられる。シェフィールドにあるブラウン・ファース研究所の初代所長であったブレアリーは、ライフル銃で起きていたエロージョンの調査を1912年に受けた。ブレアリーは対策には高クロム鋼が有効と考え、1913年に試作し、その試料が優れた耐食性を持つことに気づいた。ブレアリーが作製した試料は、クロム 12.8 %、炭素 0.24 %、マンガン 0.44 %、シリコン 0.20 % という成分から構成されており、現在の標準的なマルテンサイト系ステンレス鋼の一つに相当するものであった。 ブレアリーは、自分が発見した鋼種はナイフやフォークなどのカトラリーに役に立つと考えた。ブレアリーはモズレー商会のアーネスト・スチュアートに協力してもらい、自分が発見した鋼種のナイフを製作して、実際に有用であることを確かめた。ブレアリーは、自分の鋼種を「ラストレススチール (rustless steel)」と呼んでいた。現在の「ステンレス鋼 (stainless steel)」という名称は、スチュアートがブレアリーの鋼を「変色しにくい (stain less)」と評し、"stainless steel" と呼んだことに由来する。ブラウン・ファース研究所を運営していたトーマス・ファース・アンド・サンズ(以下、ファース社)とブレアリーの間でステンレス鋼を巡って軋轢が起こったが、ブレアリーは協力者を得て、1915年にカナダで1916年に米国でブレアリーの高クロム鋼が特許登録された。 一方で、前述のドイツのシュトラウスとマウラーが作製した試料にも、マルテンサイト系の鋼種が含まれていた。1912年にクルップ社が特許出願したもう1つの耐食鋼は、"V1M" と名付けられたクロム 14 %・ニッケル 2 %・炭素 0.15 % のマルテンサイト系であった。また、後述の米国のエルウッド・ヘインズ(英語版)も、マルテンサイト系の開発において言及されるに値すると評される。
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