ポート鏡面加工の是非
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/15 05:44 UTC 版)
吸気ポートの内部表面はインテークマニホールド同様に、吸入空気が層流とならないように敢えて荒く仕上げられている事が多い。これは乱流を引き起こして燃料の霧化を促進させ、燃焼効率を高める為の措置である為、モータースポーツなど極限の高性能を目指す用途を除いては、鏡面加工などの仕上げは行わないのが普通である。 逆に、排気ポートの場合には吸気のように乱流の形成を考慮する必要がない事と、カーボンの堆積を出来るだけ避け、付着したカーボンの剥離を促進させる意味で吸気ポートに比べて表面が平滑に製作される事が多い。吸気ポートと比較して平滑仕上げによるデメリットが少ない為、ストリートユースでも鏡面加工が行われる場合がある。 なお、後述の「ポートの再構築」の項で登場するエアフロー試験の結果によると、鏡面加工を施したポートと元の荒仕上げのポートの間には流速の変化は1%程度しか現れないという。これは流体力学の見地から説明可能な事項である。流体力学では、管内を通る流体の速度は管の中央程速く、壁面に近づくに従って次第に速度が低下していく。そして分子レベルまで壁面と流体が接近すると、最終的には壁面直前では気体の速度はほぼゼロになる。この為、壁面からの突起が管の中央付近まで突き出ているような事例でも無い限りは、壁面の仕上げが管内の流体の流速に与える影響は極僅かである。極限の高回転域しか使わないモータースポーツ用途においては、この1%は無視出来ない要素である為に鏡面加工が行われるが、低速域を多用するストリートユースやごく普通の街乗りでは1%の違いの為にポート内部に層流が発生し、混合気の燃料が再度液体化して空燃比が狂い、低回転域のトルクが悪化するリスクは犯せない為に、現在でも吸気ポートは敢えて荒仕上げのままにされるのである。
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