ポストサイバーパンク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/09 06:48 UTC 版)
「サイバーパンクからの派生」の記事における「ポストサイバーパンク」の解説
新たな作家やアーティストがサイバーパンクのアイデアで実験を始め、本来のサイバーパンク小説に浴びせられた批判にも何らかの対処をした新たな分野の小説が生まれてきた。Lawrence Person はスラッシュドットに投稿したエッセイの中で次のように書いている。 1980年代に小説を読んで育った新たな作家が、小説を出版し始めている。彼らにとってサイバーパンクはSFの革命でもSFを侵略する余所者でもなく、単なるSFの一種に過ぎない。1970年代から80年代の作家がニュー・ウェーブを生み出したイデオロギーを知ることなくその技法を吸収したのと同様、今日の新たな作家はアシモフの《ファウンデーション》シリーズやジョン・ブラナーの Stand on Zanzibar やラリー・ニーヴンの『リングワールド』を読み、続けざまに『ニューロマンサー』を読んでも不連続性は感じず、むしろ連続性を感じたかもしれない。 Person のエッセイは「ポストサイバーパンク (Postcyberpunk)」という言葉をそのような作家の作品を指す用語として提唱したものである。この観点では、ポストサイバーパンクは遍在化したコンピュータネットワークとサイバネティックス的な人間強化がやはり登場するが、描かれる社会はディストピアとは限らない。例えば、ニール・スティーヴンスンの『ダイヤモンド・エイジ』やブルース・スターリングの『ホーリー・ファイヤー』が相当する。テレビアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』は「今最も興味深いポストサイバーパンクのメディア作品」と評された。2007年、SF作家のジェイムズ・パトリック・ケリーとジョン・ケッセルは Rewired: The Post-Cyberpunk Anthology というアンソロジーを出版した。SFに含まれるとされる他のサブジャンルと同様、ポストサイバーパンクの境界線は流動的で間違った定義をされる可能性がある。 「サイバープレップ (Cyberprep)」は、ポストサイバーパンクとよく似た用語である。これは「サイバネティックス」と「プレッピー」を組み合わせたかばん語で、サイバーパンクのパンク的要素から離れていることを表している(プレッピーは「金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃん」といった意味がある)。サイバープレップの世界では、サイバーパンクで予測されたようなテクノロジーの進歩は全てあるものとして扱うが、よりハッピーな生活が描かれる。レジャーが社会の中心であり、精神転送は芸術や娯楽の手段として使われ、身体改造はスポーツや楽しみのために行われている。
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