フォリーの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 09:12 UTC 版)
フォリーの概念は幾分あいまいなところがあるが、一般的に以下のような特徴を持っている。 フォリーは建築物、または建築物の一部であり、彫刻など他の装飾物とは異なる。 フォリーには装飾以外の用途はない。特定の用途のために建てられた建築物と外観が似ていることがあるが、こうした外観は見せかけだけのものである。雨や日差しをしのぐための東屋(ガゼボ)は建築としての用途を果たしており、フォリーではない。 フォリーはわざと装飾物として建てられた建築物であり、他の用途から転用したものではない。 フォリーはしばしば風変わりなデザインをしていることがある。必ずしも風変わりである必要はないが、人目を引きつけるためにわざと普通でない形状や細部を採用していることがよくある。 フォリーは古代神殿に似せたり家屋に似せたりといった、偽物の要素がどこかに含まれていることがある。典型的な例は偽物の廃墟としてのフォリーで、かつて宗教的な目的などのために建てられた建物が時間の経過で廃墟となった風を装っているが、最初から廃墟として建てられている。 フォリーは空想を働かせた奇抜な建築物、実用的でない建築物と同じくくりに入れられることもあり、ある種の住宅や宮殿などの建築物がフォリーにみなされることもある。しかし、以下の建物はフォリーと関連性を持つものの、フォリーとは区別されるべきものである。 幻想的な外観の建物、あるいは宣伝目的で自社商品や有名な建築の外観を模した建築 (Novelty architecture) はフォリーとは正反対である。フォリーは現実に使用できそうな建築のように見えるが、何にも使えない。ドーナツやアヒルの形をしたドライブイン、パリやニューヨークを模したラスベガスのカジノホテル、地元名産品の形をした給水塔などは現実的でない形状をしているが、実際には住宅や商店として機能している。 奇抜な構造の豪邸や宮殿もフォリーに似ているが、構造や外観が奇抜なことがフォリーである条件ではない。こうした宮殿などは住居として機能しているためフォリーではない。 ばかばかしい構造や外観の建築物は英米などではよく「フォリー」と呼ばれるが、これらは構造や外観がばかばかしい(フォリー)だけで、庭園などに設けられる厳密な意味でのフォリーとは異なる。 幻視者による建築(シュヴァルの理想宮やワッツ・タワーなど)は装飾過剰でかつ実用的な建築として機能していない点などでフォリーとの区別があいまいな部分があり、フォリーと呼びうるものもなかにはある。ただし、フォリーは発注者または建築家が遊び半分で装飾目的に建てさせたものであることに対し、ワッツ・タワーなどは施工者(その多くは建築の素人)が装飾目的などではなく当人にとっては真剣な意図で築いたところがフォリーと若干異なる。 遊園地や展覧会場などにはしばしば装飾用の幻想的な建物が建っていることがある。そのいくつかはフォリーと呼びうるが、そうでないものもある。その区別はやはり用途にある。店舗やレストランなどが奇抜あるいは奇怪な外観をしている場合、実際に店として機能しているためフォリーとは呼べない。一方、装飾以外に何の目的もない偽の建物などはフォリーと呼びうる。
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