ピットプラグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:37 UTC 版)
多細胞性の紅藻では、ふつう細胞間にピットプラグ (pit plug; ピットコネクション pit connection) とよばれる特異な細胞結合構造が存在する。細胞質分裂でくびれ切れずに残った部分に小胞体が集まり、ここにタンパク質や酸性多糖が蓄積されてプラグコア (plug core) が形成される。系統群によっては、プラグコアの両面に脂質膜であるキャップ膜 (cap membrane) や、炭水化物からなるキャップ層 (cap layer) が存在することがあり (キャップ層は内外2層に分化していることもある)、このような多様性は分類形質として有用である (下表)。またピットプラグの周囲には、リボソームを欠く領域がある。ピットプラグは細胞間をつなぐ構造ではあるが、細胞質の直接的な連絡は存在しない。 紅藻におけるピットプラグの多様性タイプ内側キャップ層外側キャップ層キャップ膜分類群Iなし なし なし オオイシソウ綱 (オオイシソウ目、ロドカエテ目)、真正紅藻綱 (イタニグサ目) IIあり なし なし ウシケノリ綱 (胞子体) IIIあり なし あり 真正紅藻綱 (ベニマダラ目、テングサ目) IVなし なし あり 真正紅藻綱 (オゴノリ目、スギノリ目、カギノリ目、イギス目など) Vあり あり あり 真正紅藻綱 (ベニマユダマ目、ロダクリア目、ダルス目、ウミゾウメン目) VIあり ドーム状 あり 真正紅藻綱 (アクロカエチウム目) VIIあり ドーム状 なし 真正紅藻綱 (カワモズク目、バルビニア目、サンゴモ目) ピットプラグの中には、一次ピットプラグと二次ピットプラグがある。姉妹細胞間に存在するピットプラグは、一次ピットプラグ (primary pit plug) とよばれ、細胞質分裂によって直接形成される。非姉妹細胞間に存在するピットプラグは、二次ピットプラグ (secondary pit plug) とよばれ、不等分裂によって生じた小さな細胞 (conjunctor cell; 母細胞とピットプラグでつながっている) が、非姉妹細胞と融合することで形成される。
※この「ピットプラグ」の解説は、「紅藻」の解説の一部です。
「ピットプラグ」を含む「紅藻」の記事については、「紅藻」の概要を参照ください。
- ピットプラグのページへのリンク