ピッチ方向の安定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 17:16 UTC 版)
航空機の場合は、機体自体にある程度の安定性を持たせる設計にするのが普通である。機体の安定性を放棄する、いわゆるCCV設計が採用されたのは近年の事であり、戦闘機に限られる。 固定翼機のピッチ(機首)の上下方向のバランスの取り方には、以下の方法がある。 主翼を重心より後方に配置し、さらに後方の水平尾翼が下向きの揚力を生んでバランスを取る(通常の尾翼形式)。 主翼の大部分はプラスの揚力を発生するが、主翼の後部(後縁部、あるいは後退翼なら外側)が下向きの揚力を生む(無尾翼機)。 重心の前後にある2枚の主翼の揚力でバランスをとる(タンデム翼機)。 主翼を重心より後方に配置し、それより前方の水平尾翼(カナード)が上向きの揚力を生んでバランスを取る(エンテ型飛行機)。 主翼が重心の前に位置し、水平尾翼もまた上向きの揚力を生む。(揚力尾翼機)。 上記の方法のうち一般的なのは1.である。これは、風見安定を得るために、空力を受ける中心(力点)が重心より後ろにあることが必要だからである。1.であれば主翼・尾翼ともに重心より後ろになる。2.においても主翼は重心より後ろに配置する(その状態でバランスを取るように主翼の翼型を設計する)。3.4.の場合もトータルでの空力中心は重心よりも後ろになるように設計する。ただし5.の方式の場合は、空力中心はどうしても重心より前になり、不安定になるので、一般的な方法ではない。
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