バルブ付き複式吸水ポンプとピストンの往復運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 02:05 UTC 版)
「ジャザリー」の記事における「バルブ付き複式吸水ポンプとピストンの往復運動」の解説
このポンプは(ジャザリーの言葉によれば)、東ローマ帝国でギリシア火薬のくみ上げに使っていたサイフォンのコピーだという。1206年にジャザリーが描いたものは、吸引パイプ、吸引ポンプ、複式ポンプであり、バルブとクランクシャフト-コネクティングロッド機構を使い、2シリンダー往復ピストン吸い上げポンプを発明した。このポンプは水車で駆動されており、2つのピストンがつながっているクランクシャフトを回転させている。ピストンは水平に向き合う形でシリンダーに差し込まれ、それぞれにバルブで操作する吸引パイプと排水パイプがある。排水パイプは機械上部の中央に集められ、灌漑システムへと水を供給する。これは、ジャザリーの揚水機の中でも唯一、現代の技術に大きな影響を与えたものと言えるかもしれない。このポンプの驚くべきところは3つある。 ポンプにおいて、世界で初めて(部分的な真空に液体を吸い込む)吸引パイプを使っている。 複式の原理を世界で初めて応用している。 回転運動から往復運動への変換をクランクとコネクティングロッド機構で行っている。 ジャザリーのくみ上げポンプは13.6mの高さまで水をくみ上げることができた。これはヨーロッパで15世紀に使われていたものよりも高い(パイプでさらに持ち上げることをしなかったため)。しかしこれは、当時のイスラム世界で普通に使われていた水汲み水車 ( ناعورة nā'ūra, pl. نواعير nawā'īr/noria) より効率が良いわけではなかった。
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