バッハの名による幻想曲とフーガとは? わかりやすく解説

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リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ

英語表記/番号出版情報
リスト:バッハの名による幻想曲とフーガFantasie und Fuge über den Namen BACH S.529作曲年1871年 

作品解説

2007年10月 執筆者: 和田 真由子

37歳ワイマール落ち着いたリストは、音楽会指揮・統率や、演奏活動加えピアノ教育作曲などにも十分な時間費やし、非常に充実した日々送ったバッハ作品研究にも励み尊敬の念から、バッハの名を主題にした曲を創作したのもこの時期である。

1855年リストは、最初オルガン曲コラール『アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム』による幻想曲とフーガ》の初演行い、これに続けてオルガン曲バッハの名による前奏曲とフーガ》を完成させた。
ちなみに、《バッハの名による幻想曲とフーガ/Fantasie und Fuge uber den Namen BACH 》は、このオルガン曲バッハの名による前奏曲とフーガ》を改め1871年、さらにピアノ用に編曲したのである
ピアノでの演奏効果があがるように改められており、演奏される機会も多い。

冒頭左手にきかれる怪しげ印象的な主題は、バッハスペルBACHそれぞれ音(シ♭―ラ―ド―シ)をあてはめたものであり、これが曲全体通して形を変えながら何度も登場する
左右の手交互に打鍵する奏法高速平行移動するオクターブめまぐるしく上下するアルペジオ低音のうなりなど、ピアニスティックな効果十分に発揮する同時に内的な精神世界まで見事に表現されているあたりは、さすがリストである。

演奏において、全体的にフォルテ奏されるところが多いが、決して体が力むとがないように注意が必要である。体の重心意識した上で充実した響きつくりあげていきたい


バッハの名による幻想曲とフーガ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 06:09 UTC 版)

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バッハの名による幻想曲とフーガFantasie und Fuge über das Thema B-A-C-H, サール番号S.260, S.529)は、フランツ・リストの作曲したオルガン曲、あるいはピアノ曲田村文生による吹奏楽編曲版も存在する。

概要

1855年から1856年にかけてオルガン版の初稿(S.260i)が書かれ、また同時期にピアノ版の初稿(S.529i)が書かれた。この時点で作品は「前奏曲とフーガ(Präludium und Fuge)」と題されていた。その後、1869年から1870年にかけて改訂が施され、ピアノ版の第2稿(S.529ii)とオルガン版の第2稿(S.260ii)がこれもほぼ同時に成立している。現在、断りなく演奏される場合はオルガン版、ピアノ版ともに第2稿が使われるのが一般的である。

作曲の直接のきっかけは1855年メルゼブルク大聖堂英語版のオルガンの落成式で演奏されるために依頼を受けたことによる。しかし作曲は間に合わず、落成式では1852年出版のオルガン作品《コラール「アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム」による幻想曲とフーガ》(Fantasie und Fuge über den Choral "Ad nos, ad salutarem undam" aus der Oper Der Prophet von Meyerbeer, S.259)が演奏された。本作は1856年5月13日にメルゼブルクのオルガンを用いてアレクサンダー・ヴィンターベルガー英語版によって初演され、献呈も彼に行われた。

この作品はBACH主題を扱い、またフーガも取り入れられていることからヨハン・ゼバスティアン・バッハへのオマージュであることは明らかだが、その一方で、新ドイツ楽派の旗手であったリストらしい前衛的な響きも聴くことができる。リストは以前からバッハの芸術に関心を示しており、1840年代にはバッハのオルガン作品の編曲(S.462)を行い、また後の1862年にはバッハの主題を用いたパッサカリアである《バッハの主題による変奏曲》(Variationen über ein Motiv (basso ostinato) aus der Kantate "Weinen, Klagen, Sorgen, Zageni", und dem "Crucifixusi", der h-Moll Messe von J. S. Bach , S.184)も書かれている。

楽曲

低音で奏されるBACH動機の繰り返しに始まり、全曲を通じてBACH動機を執拗に変容させながら自由な展開を見せる。中間にはアンダンテ、ミステリオーソと指示されて始まるフーガが置かれている。なお、このフーガ主題ではオクターヴの十二音全てが用いられている。調性は変ロ長調ト短調を中心に推移するが、BACH動機自体が半音階的な音形をとるため、調性が不明瞭な場面は多い。

初稿と第2稿において構成に大きな変更はなく、またオルガン版とピアノ版の間でそれぞれほぼ相違はない。フーガ部分の展開については全ての版において同一である。

オルガン書法としては、当時のドイツでも最大級であったメンゼブルクのオルガンの性能を生かすため、幅広い表現と高い技巧が要求されている。

また、足鍵盤の扱いについても特徴が見られる。ピアノのヴィルトゥオーゾであったリストだが足鍵盤の演奏は苦手としており、オルガン作品において用法は限定的であることが多い。しかし、ヴィンターベルガーの演奏を念頭に置いた本作では、足鍵盤に素早いパッセージが要求されている箇所が存在する。

参考文献

  • "Franz Liszt: Präludium und Fuge über B-A-C-H" (Henle, HN976) 解説 (Ernst-Günter Heinemann, 2010)
  • Andreas Rothkopf "LISZT: Organ Works, Vol. 1" (NAXOS, 8.554544) CD解説書 (Keith Anderson, 2001)

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