バイエルピアノ教則本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 14:44 UTC 版)
「フェルディナント・バイエル」の記事における「バイエルピアノ教則本」の解説
日本では『バイエルピアノ教則本』として知られる『ピアノ奏法入門書』(Vorschule im Klavierspiel, Op. 101)作品101は、1851年ごろ、詳しくは1850年8月30日にショット社が発行したものが初版であると推定されている。子供など、主に初めてピアノを練習する者を対象としている。全106曲といくつかの予備練習で構成されており、題名などはない。先生と生徒で演奏する連弾曲も含まれている。併用曲集・副教材として、『付録: 大好きな旋律による100の気晴らし曲集』(Melodienbuch, 100 Erholungen für die Jegend in kleinen Lektionen über beliebte Motive für Klavier, Op. 101bis)作品101bisが存在するが、今日顧みられることは稀である。この曲集は、ドイツや西欧各地の民謡集、またオペラの有名な旋律からなる。 『バイエルピアノ教則本』は日本での決定的な地位を保ち続けてきた他、韓国でも盛んに使用されている。ドイツ語・フランス語・英語・イタリア語・スペイン語・チェコ語など、さまざまな言語でも出版されている。 問題として、右手がメロディー左手が伴奏というパターンが多いこと、調性に限りがあること、奏法に偏りがあること、曲数が多く、また曲名無しの番号の連続でモティベーションが損なわれやすいことなどが指摘されている。米国ではバイエルはごく少数派に過ぎず、トンプソンやジーン・バスティン(英語版)(バスティンメソード)、バーナム(フランス語版)の初級教本が多く使われている。欧州ではドビュッシー、ショパン、バルトーク、カバレフスキーなどの初級小曲集を使用することが多く、バイエルの使用は限定的である。日本でもバイエル以外に欧米流の教本や「ピアノどりーむ」などの教本を採用しているピアノ教師も多い。 『バイエルピアノ教則本』は、保育士試験・小学校の教員採用試験受験科目の実技試験に指定されることがある。
※この「バイエルピアノ教則本」の解説は、「フェルディナント・バイエル」の解説の一部です。
「バイエルピアノ教則本」を含む「フェルディナント・バイエル」の記事については、「フェルディナント・バイエル」の概要を参照ください。
- バイエルピアノ教則本のページへのリンク