題名など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/06 15:53 UTC 版)
本の題名の「巨人」は15章(最後から3番目の章)の最後の方に、ウィスタンが「かつて地中に葬られ、忘れられていた巨人が動き出します。」と話し、続ける。「…二つの民族の間に結ばれた友好の絆など、…強さはありません。… 国が一つ一つ、新しいサクソンの国になります。あなた方ブリトン人の痕跡など、… 羊の群れ一つ二つくらいしか残りません」というところにある。この小説の時代の後、ブリトン人、ピクト人などケルト人はアングロ・サクソン人にほぼ完全に駆逐されて、数少ない文化的遺産が残るのみとなり、サクソン人のキリスト教化もほぼ完成する。その後11世紀に「ノルマン・コンクエスト」を経てイギリスが(人種的に)形成される。第一次読者(イギリス人)はこうした歴史をわきまえて、イシグロが記録があまりない時代の老人夫婦の旅路をどのようにファンタジーとして展開するかを読むことになる。 イシグロはこの作品にどうして10年もかかったかとあるブックフェアで聞かれて、妻の同意がなかなか得られなかったと答えている。日本語訳の「解説」(早川書房編集部)にも、イシグロが冗談半分に「妻のローナが作品になかなか納得してくれなかったから」といったとある。
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