ハーヴェイ・ワインスタインをめぐる混乱
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「エジソンズ・ゲーム」の記事における「ハーヴェイ・ワインスタインをめぐる混乱」の解説
ポスト・プロダクション作業中、プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインはゴメス=レホン監督に対して次々と修正要求を突き付けてきた。修正要求は多岐にわたっていたが、中でもワインスタインが拘ったのはトーマス・エジソンの描写であった。ワインスタインによる修正の結果、一癖も二癖もある男として描かれていたはずのエジソンが単に性格の良い人になってしまった。しかも、ワインスタイン・カンパニー(TWC)の重役たちも編集作業に介入してきた。時には、彼らが相反する要求を出してきたこともあった。 まともに作業できない状態が続いていたにも拘わらず、ワインスタインは2017年9月に開催される第42回トロント国際映画祭で本作をプレミア上映する決断を下した。ワインスタインの介入がエスカレートしていく中、ゴメス=レホン監督は心身共に疲弊していった。トロントでの上映に間に合わせるために編集作業を急ピッチで行った結果、ゴメス=レホン監督は1日に2時間しか眠れないという事態に陥った。それが原因で、監督は25ポンド(約11.3kg)も痩せてしまった。結局、作業が終わったのはプレミア上映の2日前のことであった。 7日のプレミア上映後に出てきたレビューは本作に否定的な評価を下すものが多かった。それを受けて、ワインスタインは11月24日に予定されていた劇場公開に向けて再編集を行うことにし、ゴメス=レホン監督とベクマンベトフに「自分が間違っていた。あの編集は大胆に過ぎた。」と謝罪してきたのだという。ところが、ワインスタインは再編集にも執拗に口を出してきた。そんな彼の姿を見たTWCの重役たちの中には、「彼が一つの作品にこれほど執着するのを見た記憶がない」と監督に漏らす者がいた。 10月5日、『ニューヨーク・タイムズ』がワインスタインによるセクハラを告発する記事を掲載した。この記事を皮切りに、ワインスタインに性的暴行・セクハラを受けたという告発が次々と行われた。9日、TWCはハーヴェイ・ワインスタインの名前を本作のクレジットから削除すると発表した。14日、TWCが本作を公開スケジュールから引き上げたとの報道があった。 その後、経営破綻したTWCは本作の権利を売りに出したため、ゴメス=レホン監督は編集を一切行えない状態に陥った。2018年10月8日、ランターン・エンターテインメント(LE)が本作の全世界配給権を獲得したと報じられた。監督とベクマンベトフはLEに再編集を願い出たが、聞き入れてもらえなかったのだという。そんな折、監督のマネジャーと代理人が「本作の契約には「監督の同意なしに本作の編集が行われる場合、製作総指揮のマーティン・スコセッシの同意が必要となる」という条項がありますが、それを活用してはどうですか」と提案してきた。監督はすぐさまスコセッシの協力を仰ぎに行った。弟子の苦境を知ったスコセッシは監督による編集作業が終わるまで同意書にサインしなかった。 俳優たちの協力もあって、監督は再撮影を敢行することができた。その際、監督はワインスタインに苦しめられた経験から着想を得たシーンを追加した。それはニコラ・テスラが狡猾なビジネスマンに騙されて特許を奪い取られるシーンである。 2019年10月、ワインスタインは『ビジネス・インサイダー』の取材に対し「アルフォンソ・ゴメス=レホン氏とティムール・ベクマンベトフ氏は類稀なる才能の持ち主で、両者が手掛けた作品は実に素晴らしいものだと聞いております。両名とこれ以上仕事をするだけのリソースがないことは残念なことですが、『The Current War』には胸が高鳴るばかりです。両名が同作で成功を収めることを願っております」というコメントを出した。
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