ハムステッド・ヒースをめぐる議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 02:06 UTC 版)
「チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道」の記事における「ハムステッド・ヒースをめぐる議論」の解説
チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道の路線案のうち、多くの議論を呼んだのがハムステッドからゴルダーズ・グリーンまでの区間である。この区間では、ハムステッド・ヒースの下をトンネルが通過する計画とされたため、ヒースの自然環境への影響が小さくないとして強硬な反対を受けることになった。ハムステッド・ヒース保護協会と称する団体は、トンネルによってヒースの地下水が減少し、列車の振動によって樹木が痛むと主張し、「タイムズ」も1900年12月25日の紙面にこの団体の意見に押される形で「ヒースの地下に設けられる巨大なチューブは、地下水の排水管として機能することは疑いない。地面が湿気を失うことで、草や灌木は打撃を受けるであろう。さらに、大深度に埋められたトンネルの中を通過する列車によって地盤が振動し、この大小の振動によって樹木の根が傷むことは疑いの余地がない」とする論説を掲載した。 現実には、トンネルはロンドンの地下鉄路線の中で最も深い、地面から200フィート (61 m)下に掘削される計画であり、チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道の代理人(英語版)は議会特別委員会での演説で、「この様な不合理がかつてあっただろうか。ロンドンの地下240フィートで水の流れを心配する必要があろうか。ロンドンの地下の堅い花崗岩ほど無意味なことだ。地下240フィートの振動が樹木の根に影響すると考える必要があるだろうか。この様な団体の意見に、委員会の時間を割くほど無意味なことはないのではないだろうか」と侮蔑をこめて論駁した。 エッジウェア・アンド・ハムステッド鉄道(英語:Edgware & Hampstead Railway 、E&HR)もハムステッド・ヒースの下を通過してエッジウェアからハムステッドを結ぶ路線の個別的法律案を議会に提出していた。エッジウェア・アンド・ハムステッド鉄道はチャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道とハムステッドで接続することを当初計画していたが、ゴルダーズ・グリーンとハムステッドの間に2本の路線を敷設することを避けるため、接続点をゴルダーズ・グリーンとすることで両社が合意している。 ハムステッド・ロンドン特別区(英語版)は当初ハムステッド・ヒースの下を通過する路線に反対していたが、ハムステッド・ヒースへの訪問客の便を図るため、ゴルダーズ・グリーンとハムステッドの間に駅を設けることを条件に賛成に転じている。ハムステッド・ヒースの北端に位置するノース・エンドに、隣接する地帯を住宅地として開発することも見込んだ駅を建設することが路線案に追加された。議会は、地下鉄建設はハムステッド・ヒースの環境に影響を与えないと判断し、1902年11月18日、1902年チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道法及び1902年エッジウェア・アンド・ハムステッド鉄道法として建設案が国王裁可された。
※この「ハムステッド・ヒースをめぐる議論」の解説は、「チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道」の解説の一部です。
「ハムステッド・ヒースをめぐる議論」を含む「チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道」の記事については、「チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道」の概要を参照ください。
- ハムステッド・ヒースをめぐる議論のページへのリンク