ニューヨークと「ファクトリー」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 01:57 UTC 版)
「ヴァレリー・ソラナス」の記事における「ニューヨークと「ファクトリー」」の解説
1960年代半ばにソラナスはニューヨークへと移住したが、生計は物乞いと売春で立てていた。1965年に彼女は二つの作品を書いている。自伝的な短編『A Young Girl's Primer on How to Attain the Leisure Class』と若いころの売春を題材にした戯曲『Up Your Ass』である。ジェームズ・マーティン・ハーディングによれば、この戯曲は「男を憎んでいる売春婦で物乞いの女についてのストーリーがメインになっており、その女は最後に一人の男を殺してしまう」。ハーディングはこの作品を「感動的な文学作品...というよりも挑発的」で「かなり思春期特有の意識がみえ作為的」と評している。短編の方は1966年6月にCavalier誌で活字化されたが、『Up Your Ass』の出版は2014年を待たねばならなかった。 1967年、ソラナスはウォーホルのスタジオ「ファクトリー」で彼と出会い、自分の戯曲のプロデュースを依頼した。ウォーホルは作品をレビューすることをうけあい、ソラナスに「上手にタイプされている」と評価したその脚本を読むことを約束した。ファクトリーに伝わる逸話によれば、当時、猥褻を理由に警察から映画の公開を中止させられることがよくあったウォーホルは、この脚本があまりにポルノグラフィックであるがゆえに、警察の罠に違いないと考えていた。その後ウォーホルはソラナスから脚本のことで連絡がくると、原稿を失くしてしまったという返事をしている。そして冗談交じりにスタジオのタイプライターの仕事をしないかと提案した。侮辱されたと感じたソラナスは失われた脚本の代償として金銭を要求したが、それに対してウォーホルが支払ったのは自分の映画『アイ・ア・マン』へのソラナスの出演料25ドルだった。 『アイ・ア・マン』でソラナスに与えられたのは、映画の題となっている(トム・ベイカー演じる)人物に独り立ちさせるために「私はマスかきに行くよ」と言いながらその場を去る女の役だった。ソラナスはこの映画でウォーホルとの仕事が経験できたことにも自分のパフォーマンスにも満足していて、モーリス・ジロディアスにもこの映画を見せている。ジロディアスは彼女のことを「とてもリラックスしていてウォーホルともフレンドリーに接している」と表現した。ソラナスは1967年のウォーホルの映画『バイクボーイ』にもセリフのない役で出演している。
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