ナンテンギリとは? わかりやすく解説

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南天桐

読み方:ナンテンギリ(nantengiri)

イイギリ別称
イイギリ科落葉高木園芸植物

学名 Idesia polycarpa


南天桐

読み方:ナンテンギリ(nantengiri)

飯桐別称

季節

分類 植物


イイギリ

(ナンテンギリ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 17:08 UTC 版)

イイギリ
イイギリの果実
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キントラノオ目 Malpighiales
: ヤナギ科 Salicaceae
: イイギリ属 Idesia
: イイギリ I. polycarpa
学名
Idesia polycarpa Maxim. (1866)[1]

イイギリ(飯桐[2]学名: Idesia polycarpa)は、ヤナギ科[注 1]イイギリ属落葉高木。山地に生える。和名の由来は、昔はこの葉で飯を包むのに使われ、また、葉がキリに似ていることから「飯桐」となったといわれる[3][2]果実ナンテンに似ており、別名ナンテンギリ(南天桐)ともいう[2]。イイギリ属の唯一の種。

分布

日本本州(青森県津軽地方以南[4])、四国九州沖縄[5]朝鮮半島中国台湾に分布する[6][3]。山地に生える[3]。湿気のある肥沃な暖地に多く自生する[2]

形態

落葉高木で、樹高8 - 21メートル (m) 、幹径50センチメートル (cm) 程度になる。枝は下の方から輪状に出て斜めに真っ直ぐに伸び、特徴的な枝振りになる[5]樹皮は灰白色から淡灰褐色で滑らかであるが、皮目が多くざらざらしている[3][5]。枝の落ちた跡が大きな目玉模様になって残る[5]。一年枝は太くて無毛である[5]シュートは灰褐色で太いがある。

互生、枝先に束性する。葉柄を含めた葉の長さは30 - 40 cmにもなり、長くて赤い葉柄がつくのが特徴[2]葉身キリアカメガシワにも似ている幅広い心形で[3]、長さ8 - 20 cm、幅7 - 20 cm。アカメガシワよりもハート形に近く、丸みがある[2]。表は暗緑色、裏は白っぽい。縁には粗い鋸歯がある。葉柄は4 - 30 cmと長くて赤く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身の付け根にある)。秋には黄葉し、明るい黄色に色づく[2]

花期は春(4 - 5月ごろ)[3]。花は小さく黄緑色で、香気があり、ブドウの房のように垂れ下がった13 - 30 cmの円錐花序をなす[3]花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。雌雄異株雄花は直径12 - 16ミリメートル (mm) 、雌花は9 mmで子房上位。雄花には多数の雄蕊があり、雌花にも退化した雄蕊がある。

果期は秋で、黄葉のころに熟して橙色から濃い赤紫になり、たくさんの実を房状にぶらさげる[2]。果実は液果で直径5 - 10 mm。多数の2 - 3 mmの褐色の種子を含む。赤く熟した果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ[6][7][8][5]。冬に落ちた果実は黒くなって残る[5]。冬枯れの中、枝にたくさん実った果実は野鳥の食料となる[5]

冬芽鱗芽で、枝先の頂芽は半球形で三角形の芽鱗に包まれており、ややつやがあって粘る[5]側芽は頂芽よりも小さく、枝に互生する[5]。葉痕は大きな円形で、維管束痕が3個つく[5]

利用

公園樹や街路樹として利用される[3]

果実は生食可で、加工して食べられることもある[9]

秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、観賞用樹木として、ヨーロッパ等を含む他の温帯域でも栽培される[7]。また生け花や装飾などの花材としても使われる[3]。白実の品種もある。

脚注

注釈

  1. ^ 最新の分類体系であるAPG体系ヤナギ科に分類されるが、クロンキスト体系新エングラー体系など従来の分類ではイイギリ科とされていた[1]

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Idesia polycarpa Maxim. イイギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 亀田龍吉 2014, p. 67.
  3. ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 143.
  4. ^ 東北森林管理局/管内の樹木一覧(アオイ目・ジンチョウゲ目・スミレ目・セリ目)”. www.rinya.maff.go.jp. 2025年4月26日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 200
  6. ^ a b Flora of China: Idesia (genus page), Idesia polycarpa (species page)
  7. ^ a b Rushforth, K. (1999). Trees of Britain and Europe. Collins ISBN 0-00-220013-9.
  8. ^ イイギリ”. 森林総合研究所 九州支所. 2014年12月20日閲覧。
  9. ^ Tanaka, T. (1976). Cyclopaedia of Edible Plants of the World. Keigaku Publishing.

参考文献



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