ドーンによる探査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 22:43 UTC 版)
「ケレス (準惑星)」の記事における「ドーンによる探査」の解説
ドーンは、ケレスの表面がクレーターで覆われていることを明らかにした。しかし、ケレスには予想されていたよりも大型のクレーターは存在しておらず、これはおそらく過去の地質学的プロセスによるものとされている。予想外にもケレスのクレーターの多くには、氷火山プロセスの影響で中央に窪み(central pit)があり、また多くは中央丘を持っている。ケレスにある有名な山として、アフナ山(Ahuna Mons)がある。この地形は氷火山のように見え、クレーターがほとんど無いことから、最長でも数億年以内に形成されたことが示唆されている。後のコンピューターシミュレーションでは、元々ケレスに存在していたが、粘性の低下によって認識できなくなった他の氷火山が存在する可能性が示されている。ドーンはケレスにあるいくつかの「光点」を観測しており、そのうち最も明るい光点(スポット5)は、オッカトル(Occator)と呼ばれる直径80 kmのクレーターの中心に存在している。2015年5月4日に撮影されたケレスの画像から、2番目に明るい光点が実際には、散在している10個もの明るい領域から成ることが明らかになった。これらの明るい地形はアルベド(反射率)が約40%にもなっており、これは表面にある氷や塩といった太陽光を反射する物質によるものとされている。最もよく知られている光点「スポット5」の上空には定期的に「もや」が現れる。これは、ある種のガス放出または昇華する氷が光点を形成したという仮説を支持するものとされている。2016年3月、ドーンはオクソ(Oxo)クレーターで水分子が存在するという明確な証拠を発見した。 2015年12月9日、NASAの科学者たちはケレスの光点は塩の種類、特に硫酸マグネシウム六水和物(MgSO4·H2O)を含む塩水の形態に関係していると報告した。また、その光点はアンモニアが豊富な粘土と関連していることも明らかになった。これらの光点の近赤外線スペクトルが大量の炭酸ナトリウム(Na2CO3)、少量の塩化アンモニウム(NH4Cl)もしくは炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)の存在を示すものと一致することが2017年に報告されている。これらの物質は、最近内部から表面に到達した塩水の結晶化に由来していることが示唆されている。 2020年に欧米の科学者チームが行った研究発表ではケレスの観測を行ったドーンによる重力測定のデータから、直径約92kmの「オッカトル・クレーター(英:Occator Crater)」の地下およそ40kmの深さに今も約数百~1000kmの幅に渡って塩水が存在していることを断定した。また、別の研究チームでは、これまで地球以外で観測された例がなかったハイドロハライトが存在することを発見した。
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