トンコナン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 09:35 UTC 版)
トンコナン(tongkonan)は、トラジャ族先祖伝来の形式を受け継いだ伝統的な家屋である。木杭の上に建つ高床式で、割られた竹の層で作られた巨大な湾曲した弧状の屋根を備えている。外壁は赤(弁柄色)・黄・黒の三色で彩色された精巧な木彫り装飾で飾られている。「トンコナン」という単語はトラジャ語で「座る」という意味の動詞「トンコン」(tongkon)から派生している。 トンコナンはトラジャ族にとって社会生活の中心となる場所である。また、トンコナンに関する儀式はトラジャ族の精神活動を表現する重要な要素でもあり、これによりそこに住む過去と未来の住人と、現在の家族全員を繋ぐ象徴とされる。トラジャ神話によると、最初のトンコナンは4本の柱とインド産の布を使ったもので、上界で建てられたとされている。大地に降臨したトラジャ族の始祖は、この家を模し、儀式を執り行なったとされる。 トンコナン建設には多大な労力がかかるため、通常は血縁集団が集まった大規模なものとなる。トンコナンには3種類のタイプがある。政治機能の中心を担う最高位のtongkonan layuk、民族の慣習(アダット)行事を遂行する権限を持つ一家が住むトンコナン・ペカンブラン(tongkonan pekamberan)、そして通常の貴族が住むトンコナン・バトゥ(tongkonan batu)である。ただし、一般人階級の中でも、村を出てインドネシア社会で蓄財を果たした家族からの仕送りを受けて大きなトンコナンを建てる例が増え、その高貴さと排他性は少なくなりつつある。
※この「トンコナン」の解説は、「トラジャ族」の解説の一部です。
「トンコナン」を含む「トラジャ族」の記事については、「トラジャ族」の概要を参照ください。
- トンコナンのページへのリンク