トルコとシリア難民
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/17 09:05 UTC 版)
シリアの北側に国境を接するトルコは、内戦発生時から有力な難民の脱出先となった。トルコに押し寄せた難民の多くはギリシアへ抜け、さらに欧州各国への移動を目指したが多くの国は受け入れに難色を示した。EU各国は、トルコへの支援と引き換えにトルコに難民が留まる施策を取らせることとした。トルコは2019年までに約360万人を超えるシリア難民を受け入れたが、増え続ける難民に対処が難しい状況に陥った。 難民の増加に比して少ないEUからの支援の少なさ、関心の低下に業を煮やしたトルコは、シリア側の国境線に展開する軍事勢力を排除して緩衝地帯を設け、難民を送還する計画を立案。ISILの実効支配地域が消滅し、軍事的なバランスが崩れたタイミングとなった2019年10月9日、トルコはシリアに向けて軍事侵攻を行った。EU各国は一斉にトルコを非難したが、エルドアン大統領は、軍事行動を批判するのであればドアを開けて難民360万人をあなた方(EU各国)のもとに送るとした警告を行った。 2020年2月、シリア政府軍が国境付近に展開していたトルコ軍を攻撃、トルコ側も反撃を行い一触即発の事態となった。トルコは、難民にギリシア側(を通じて欧州各国)へ移動する便宜を図りながら、EUに軍事介入を求めるプレッシャーをかけた。ギリシア側は実力行使で難民の入国を阻止する姿勢を示した。
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