デクチン1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 05:39 UTC 版)
デクチン-1(Dectin-1)とはβ-1,3-グルカンおよびβ-1,6-グルカンの受容体であり、C型レクチンに属する。ヒトのデクチン1は9つのアイソフォームが存在する。β-グルカンの構造により結合性が異なり、分子量が数十万以上の(1-3)-β-D-グルカンへの結合性が高い。またオリゴ領域では10糖以上のものを認識し結合する。 マクロファージや樹状細胞はデクチン1でβ-グルカンを認識する。デクチン1はT細胞との相互作用を促進すると推測される。真菌細胞壁成分の50%以上を占める β-グルカンを特異的に認識するデクチン1は、TLRsと並んで真菌感染に対する防御応答において重要な役割を果たしていると考えられる。 しかしながらデクチン1による真菌の認識は、β-グルカンが露出する限られた形態の時にしか起こらない。例えばCandida albicansは酵母型と菌糸型の2つの形態を取るが、デクチン1は酵母型とは結合するが菌糸型とはほとんど結合しない。 デクチン1ノックアウトマウス由来の樹状細胞では、本来誘導されるはずのTNF産生が認められず、β-グルカンによる免疫賦活活性にデクチン1が必須である事が明らかとなっている。マウスへのデクチン1中和抗体投与により、β-グルカンによる抗腫瘍活性発現が有意に低下し、腫瘍が増殖した。これよりデクチン1はβ-グルカンの抗腫瘍活性発現においても重要な役割を果たしていることが示唆されている。
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