チロの星まつり「星空への招待」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 11:01 UTC 版)
「チロ (犬)」の記事における「チロの星まつり「星空への招待」」の解説
白河天体観測所はごく小規模な天文台で、しかも通常は無人であった。そのため、多数の人を対象にした天体観望会を開催するのは難しい話だった。そこで発案されたのは、山奥で星空の美しい場所に「星空への招待」という会合を設定して天文ファン同士が集って一夜を語り明かすというものであった。 この発案はさっそく実行に移され、呼びかけの「世話人代表」となったのはチロであった。「星空への招待」の会場は、磐梯山に近い中津川渓谷そばの駐車場と決まった。1975年8月30日、第1回目の「星空への招待」が開催された。このときの参加者は遠くは山口県からやってきた人もいたものの、わずかに33人を数えるのみであった。 各地から集まった星仲間たちは、日の高いうちはそれぞれの自作望遠鏡を披露しあいながら日暮れを待った。同じく日暮れを待っていたチロが空を見上げるように仰向けになって寝転んだので、星仲間の1人がそれを面白がって同様に寝転がった。夜空を見上げてみるとすぐさま「白鳥座の1等星デネブが2つ輝いている」と大きな騒ぎになった。 「2つ輝いているデネブ」の正体は、新星であった。この夜に出現した新星は地球から約4,000光年のところにある連星の一方が大爆発を起こしたもので、後に「V1500cyg」と命名された。通常は16等星程度だった星が2.2等まで急に増光したもので、これほどに明るい新星の出現は約40年ぶりのことであった。 「星空への招待」は開催に合わせたように出現した新星などによって人気が高まり、2回目以降は会場を観測条件がさらに良い標高約2,000メートルに位置する吾妻山の浄土平という場所に移して毎年夏休みに開催されることになった。「チロにあいにいこう」、これが「星空への招待」に集う星仲間たちの合言葉になっていた。藤井自身は「星空への招待」を毎年行うつもりなどなかったが、その後10年間も続けて開催することになったのは、初回に起きた新星騒動の余波が尾を引いていたためであった。
※この「チロの星まつり「星空への招待」」の解説は、「チロ (犬)」の解説の一部です。
「チロの星まつり「星空への招待」」を含む「チロ (犬)」の記事については、「チロ (犬)」の概要を参照ください。
- チロの星まつり「星空への招待」のページへのリンク