ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立
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「ダビング10」の記事における「ダビング10の迷走 メーカーと著作権団体の対立」の解説
ダビング10のめどが立たなくなったきっかけは、著作権者への私的録音録画補償金制度をめぐる議論からである。補償金制度は著作権法に基づき、デジタルの録音・録画機器の価格に著作権料の上乗せをするものである。 2008年(平成20年)5月8日、文化庁の文化審議会でダビング10の実行にともない制度の対象をハードディスク内蔵型DVD録画機に拡大する案を示す。これは、著作権団体側の「回数が増える以上、適切な対価を支払うべきだ」(椎名和夫・日本芸能実演家団体協議会常任理事)との主張を受けたものである。著作権団体側にとっては補償金の対象の拡大は、補償金総額の減少に歯止めをかけるという利点もある。これに対し、メーカー側は「補償金制度の際限ない拡大につながる」「制限が残る以上、補償金を支払う必要はない」と反発している。これはデジタル放送にこの様な制限を設けているのは日本だけで、この様な制限を設けているのは著作権者団体へのメーカー側の特別扱いである。海外よりもはるかに特別扱いされているにもかかわらず著作権者団体側がさらに過大な要求を突きつけてきたことに対しメーカー側の関係者の間では「日本の著作権者団体を特別扱いしてあげたらかえって図に乗ってきた」と反発する意見も出てきており、「いっそのこと外国と同じく一切の複製防止機能搭載をやめ、補償金額は裁判で争うべきだ」という意見によるものであるとも考えられる[要出典]。また補償金は価格に転嫁しにくく、自社で負担せざるを得ない。なお、ソニーは文化庁案に反発するメーカー側で唯一柔軟な姿勢を示している。これはソニーグループ内に映画・音楽事業があり、著作権者としての立場もあるからである(日本ビクターも当時子会社〈現在はグループ内〉にレコード会社を持っていたが、ソニーのように著作権者としての立場で反発はしていない)。 さらに放送局は総務省、著作権問題は文部科学省、メーカーは経済産業省が担当しておりこの3省内での調整が十分になされなかったことも原因の1つとなっている。
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