ゾーン型フィルダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 09:14 UTC 版)
ダム内部を数個のゾーンに区分けし、それぞれ水の通りやすさの度合いによって異なる材料を配置したもの。「水を通さない」不透水ゾーンを中心に、その上流側および下流側を「水を通しやすい」透水ゾーンで固めた構造をもつ。内部遮水壁型フィルダムともいう。 中心部の不透水ゾーンはコア(遮水壁)と呼ばれ、水をせき止めるものである。コアが基礎岩盤に対し垂直なものを中央コア型(中央遮水壁型)、上流側へ斜めに傾いているものを傾斜コア型(傾斜遮水壁型)という。前者は沈下(ダム垂直方向の変形)による影響が少なく、安全性が高いとして日本では施工例が多い。後者は表面遮水壁型フィルダムのコンクリートもしくはアスファルト遮水壁を土質材料によって代えたもので、それを透水性の保護層で覆ったものである。ロック材とコア材の盛り立てを同時に行う必要がある中央コア型に対し、傾斜コア型では独立してできるという利点もある。 不透水ゾーンには粒の細かい土を用いる。ダムをより高く築く場合は施工の容易さも重視されることから、これに加えて砂れきを1対1の割合で混合したものを用いる。土質材料以外にもコンクリートやアスファルトなどを用いることがある。 不透水ゾーンを中心に上流側および下流側には透水ゾーンが設けられる。透水ゾーンを構成する材料によって細分され、土を用いたものをゾーン型アースダム、周辺の山から採掘した岩石(ロック材)を用いたものをロックフィルダム、川に堆積した砂れき(グラベル材)を用いたものをグラベルフィルダムという。 不透水ゾーンと透水ゾーンとで材質が大きく異なる場合は、両者の間に半透水ゾーンを設ける。コア材の流出防止という役割を持ち、特にフィルターと呼ばる。材質は両者の中間にあたる砂や砂利を用いる。
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