スペイシーの降板・再撮影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 14:38 UTC 版)
「ゲティ家の身代金」の記事における「スペイシーの降板・再撮影」の解説
10月29日、ケヴィン・スペイシーが当時14歳の俳優にセクハラを行っていたとの報道が出た。スペイシーは謝罪文を公表したが、その文章が原因でさらに厳しく批判されることとなった。こうした事態を受けて、トライスター・ピクチャーズは本作のプロモーション戦略の見直しを進めていると報じられた。また、当初予定されていたスペイシーをアカデミー助演男優賞にノミネートさせるためのキャンペーンもキャンセルとなった。11月8日、公開まで1ヶ月しかないにも拘わらず、スコット監督がスペイシーの出演シーンを全て撮影し直す決断を下した。興行収入や賞レースでの悪影響を回避し、それと同時に映画製作者としての道義的責任を果たすための決断であったと報じられている。スペイシーの代役にはクリストファー・プラマーが起用された。 『ハリウッド・レポーター』の報道によると、スコットは最初からプラマーをジャン・ゲティ役に起用する予定だったが、スタジオが大物俳優の起用を望んだため、スペイシーにオファーが出たのだという。 再撮影は11月20日から29日にかけて行われたが、ローマやヨルダンでのシーンはセットで撮影された映像をスペイシー版の映像と合成することで撮影された。新しい予告編が公開されたのは撮影最終日となった29日のことであった。なお、再撮影には1000万ドルが費やされた。再編集は夜を徹して行われ、劇場公開版が完成したのは12月7日のことであった。 再撮影と出演料をめぐる騒動 監督のリドリー・スコットは当初「俳優の皆さんはただ同然で再撮影に協力してくれました」という主旨の発言をしていた。しかし、2018年1月10日、ウォルバーグが再撮影に際し150万ドルのギャラを受け取っていたのに対し、ウィリアムズが1000ドル以下のギャラしか受け取っていないと報じられた。ケヴィン・スペイシーのスキャンダルをきっかけのひとつとして「#MeToo運動」が盛り上がりを見せていた時期であり、男女間の賃金格差を象徴する一件として大きな注目を集めた。2人のギャラに1000倍以上の相違が生じたのは、「米国外の配給会社が自分の興行実績を宣伝に利用する」と考えたウォルバーグが独自にギャラの値上げを交渉したためであった。公開日が間近に迫っていたこともあり、製作サイドはウォルバーグの要求を呑まざるを得なかったと報じられた。報道で事実を知ったスコット監督は激怒したとも伝えられている。また、ウォルバーグの出演契約には、共演者を拒否する権限が盛り込まれており、ウォルバーグ側がそれを活用してギャラの値上げ交渉を行ったことも非難を浴びた。 ジェシカ・チャステインやジャド・アパトーらが自身のTwitterでこの問題に苦言を呈した。また、事態を重く見た全米映画俳優組合は協定違反の有無を調査すると発表した。 こうした批判を受けて13日、ウォルバーグとマネージメントを担当するWMEは「ミシェル・ウィリアムズの名義で、再撮影で得たギャラ150万ドルをTime's Up運動(当初#MeToo運動は、こう呼ばれていた)の基金に寄付する」と声明を発表した。翌年3月にウォルバーグはインタビューで「自分の配慮が足らなかった」と認めている。
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