スィールの娘ブランウェン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 22:27 UTC 版)
「マビノギ四枝」の記事における「スィールの娘ブランウェン」の解説
第二枝はブリテンの王ベンディゲイドブラン(Bendigeidfran、祝福されし者ブランの意)の妹ブランウェンと、アイルランド王マソルッフ(Matholwch)との結婚を扱う。ブランウェンの異父兄弟であるエヴニシエン(Efnisien)は結婚について説明がなかったことを怒り、マソルッフの馬を斬り殺して彼を侮辱する。だがベンディゲイドブランは作法に則り、新しい馬と宝をマソルッフに償いとして贈った。その中には死者を復活させることができる魔法の大釜もあった。マソルッフがアイルランドに帰還したのち、ふたりの間には子供が生まれ、グウェルン(Gwern)と名付けられた。アイルランドの人々は一度は妃ブランウェンを歓迎したものの、マソルッフが受けた侮辱に再度不満を言いだした。助言を受けたマソルッフの命令でブランウェンは厨房に閉じこめられ毎日殴られていた。ブランウェンはひそかにホシムクドリを手なずけてベンディゲイドブランに手紙を送り、ベンディゲイドブランはマソルッフに戦争を仕掛けた。 ベンディゲイドブランの軍隊はアイリッシュ海を船で渡ったが、ベンディゲイドブラン自身はその巨体で歩いて渡り、船では越えられないとされていた川に自らの巨体で橋を架け兵たちを渡らせた。アイルランドは和平を提示して、ベンディゲイドブランを歓待する大きな屋敷が造られた。中には小麦粉を包んだ百の袋があったが、実際には武装した兵士がその中に潜んでいた。エヴニシエンは計略を疑い、屋敷を調査して袋詰めの兵士の頭をたたき割り、皆殺しにした。その後歓待を受けたエヴニシエンはこれを侮辱と取ってグウェルンを火に放り込み、戦闘が始まった。アイルランド軍は死者を復活させる大釜を使っていることに気づいたエヴニシエンは、自らの命を犠牲に、霊の中に隠れて大釜を破壊した。戦いの結果、プレデリ、マナウィダン、ベンディゲイドブランを含む七人のウェールズ人のみが生き延びた。だがベンディゲイドブランは毒の槍で致命的な傷を負っていた。ベンディゲイドブランはみずからの首を切ってブリテンに持ち帰るように命令した。ブリテンに着けば、魔法のかけられた食物を口にしている限りいくらか生き延びることができるからである。だがブランウェンは帰還の途中で悲嘆のあまり死んでしまった。アイルランドには五人の妊婦が生き残り、ふたたびアイルランドに人を増やした。
※この「スィールの娘ブランウェン」の解説は、「マビノギ四枝」の解説の一部です。
「スィールの娘ブランウェン」を含む「マビノギ四枝」の記事については、「マビノギ四枝」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書からスィールの娘ブランウェンを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- スィールの娘ブランウェンのページへのリンク