ジュラルミン製車体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:34 UTC 版)
「国鉄63系電車」の記事における「ジュラルミン製車体」の解説
1946年に川崎車輛(現・川崎車両)で製造された6両(モハ63900 - 63902・サハ78200 - 78202)は、航空機用材料のジュラルミンを使用して試験的に製造されたもので、骨組みは普通鋼、床板と荷物棚は木製、座席は布張りで、外板および室内の吹寄、乗務員室仕切、腰羽目板、天井、窓枠、扉類、吊手棒受、荷物棚受などをジュラルミン製として製造された。これは終戦により余剰となった航空機用ジュラルミンを活用したもので、事実上日本で初めて車体の主要部分に軽合金を用いた電車である。 外板は1.6 mm厚のジュラルミン板を鋼製の構体骨組に6 mm径のリベット留めしたもので、クリアーのアクリル塗料を塗った銀色に細い緑色(製造中は赤色)の帯が入るものであったが、その後、クリア塗装での再塗装には手間がかかるため1948年にフタル酸樹脂エナメル塗料によって鋼製車と類似の塗装が施された。内装は同じくジュラルミン板を木製の内部構体に木ねじ留めとして外板と同じくクリアラッカーで仕上げたもので、照明に蛍光灯を試験的に採用したため車内も明るく、「ジュラ電」と呼ばれて注目を集めた。 しかし、ジュラルミンは腐食しやすかったことに加え、骨材と外板との間に浸入した水により局部電池が形成されることで電蝕が進行し、本車両においても7年程度使った時点でジュラルミンの腐食が見られる状況であった。抜本的対策として1954年に試作を兼ねて6両とも全金属製車体(外板は普通鋼、内装はアルミ)に改造された。
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