ジャロシンスキー-守谷相互作用とは? わかりやすく解説

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ジャロシンスキー-守谷相互作用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/27 07:54 UTC 版)

弱強磁性」の記事における「ジャロシンスキー-守谷相互作用」の解説

この弱強磁性、特に当時よく知られていたα-Fe2O3やMnCO3、CoCO3の弱強磁性にジャロシンスキー(I. Dzyaloshinsky)が理論的な説明与えたのは1958年の事である。彼は結晶の持つ対称性からの考察により、前述弱強磁性においては必ずしもスピンが完全に反平行にならず、わずかに傾いても良いことを示した。つまり、通常の反強磁性体においては二つ副格子存在しそれぞれが完全に逆向き例えば0度方向と180度方向)を向くが、結晶対称性によってはこの二つ副格子向きわずかにズレ例え5度方向175方向を向くようなことが許される。この場合、両副格子磁化は完全には打ち消されず、90方向打ち消されずに残った磁化自発磁化として現れることとなる。これが傾角反強磁性と言われる由来である。その後この様わずかに傾け相互作用対し守谷分子軌道論的、微視的な立場から説明与えた通常の交換相互作用においてはスピン間の相互作用1次摂動であり、スピン内積S1・S2に比例する形で書ける。このためスピンペアは平行、もしくは反平行(どちらがエネルギーが低いかは軌道の重なり依存する)の場合エネルギーが最低となる。一方守谷示したのは、スピン-軌道相互作用考慮した2次摂動スピン-軌道相互作用スピン励起し、これと隣接するスピン相互作用する項など)においては最終的に相互作用スピン外積S1×S2に比例する項となり、スピン同士90度の角度を持つときエネルギーが最低となると言うことである。この相互作用両名の名を取りジャロシンスキー-守谷相互作用(DM相互作用)と呼ばれる実際の系においてはDM相互作用加えて通常の交換相互作用も働くため、スピン同士90ではなく180度と90度のどこか(両相互作用強さの比に依存する)を向くこととなる。なお、DM相互作用相互作用する2スピンサイトの対称性強く依存する例えばよく知られたようにDM相互作用スピン入れ替えに対して反対称なければならないが、もし相互作用する2サイト間に(結晶学的に)反転対称存在する場合反転操作スピン入れ替え等しくなる。この場合結晶対称性からは反転操作スピン入れ替えに対してDM相互作用ハミルトニアン不変である必要があり、一方DM相互作用そのもの要請としてはスピン入れ替えに対して反対称なければならず、両方満たす唯一の解としてDM相互作用ゼロになる必要がある。つまり、ある2つスピン間にDM相互作用が働くためには、両者の間に反転対称性存在してならない

※この「ジャロシンスキー-守谷相互作用」の解説は、「弱強磁性」の解説の一部です。
「ジャロシンスキー-守谷相互作用」を含む「弱強磁性」の記事については、「弱強磁性」の概要を参照ください。

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