ジャレンデュランとは? わかりやすく解説

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ジャレン・デュラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/15 04:38 UTC 版)

ジャレン・デュラン
Jarren Duran
ボストン・レッドソックス #16
2024年7月2日
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州コロナ
生年月日 (1996-09-05) 1996年9月5日(28歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
212 lb =約96.2 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 外野手
プロ入り 2018年 MLBドラフト7巡目(全体220位)
初出場 2021年7月17日
年俸 $720,000(2023年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム メキシコ
WBC 2023年

ジャレン・ウィリアム・デュランJarren William Duran, [注 1]; 1996年9月5日 - )は、 アメリカ合衆国カリフォルニア州コロナ出身のプロ野球選手外野手)。右投左打。MLBボストン・レッドソックス所属。愛称は"Angry Lizard"(走り方がトカゲに似てることから)[4][5]

経歴

2018年MLBドラフト7巡目(全体220位)でボストン・レッドソックスから指名され[6]、プロ入り。契約後、傘下のA-級ローウェル・スピナーズ英語版でプロデビュー。A級グリーンビル・ドライブでもプレーし、2球団合計で67試合に出場して打率.357、3本塁打、35打点、24盗塁を記録した。

2019年はA+級セイラム・レッドソックスとAA級ポートランド・シードッグスでプレーし、2球団合計で132試合に出場して打率.303、5本塁打、38打点、46盗塁を記録した。7月にはオールスター・フューチャーズゲームアメリカンリーグ選抜に選出された[7]。オフにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、ピオリア・ハベリーナズ英語版に所属した。

2020年COVID-19の影響でマイナーリーグの試合が開催されなかったため、公式戦の出場は無かった。

2021年は5月のマイナーリーグ開幕からAAA級ウースター・レッドソックスでプレーし、46試合に出場して打率.270、15本塁打、32打点、12盗塁を記録した。7月16日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りすると[8]、翌17日のニューヨーク・ヤンキース戦にて「6番・中堅手」でメジャーデビュー(この試合での結果は2打数1安打、1四球)[9]。7月19日のブルージェイズ戦でMLB初本塁打を記録した[10]

2023年シーズン開幕前の3月に開催された第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)メキシコ代表に選出された。シーズンの開幕はマイナーで迎えたが、アダム・デュバルのIL入りに伴い、4月17日に昇格した[11]。それ以降は出場選手の地位を確固たるものにし、102試合に出場して打率.295、8本塁打、40打点を記録し、さらに24盗塁を記録した。34本の二塁打はMLB7位、アメリカンリーグ4位だった[12]

2024年は開幕前のキャンプにおいて、アレックス・コーラ監督より、1番打者での起用を明言された[13]。7月16日にグローブライフ・フィールドで開催されたオールスターゲームに自身初めて選出され、本塁打を記録するなどアメリカン・リーグの勝利に貢献し、オールスターゲームMVPを受賞した[14]。この年は自己最多の160試合に出場し、打率.285、21本塁打、75打点、34盗塁、OPS.834を記録し、二塁打48本、三塁打14本は共にMLB全体1位[13]オールMLBチームにセカンドチームの外野手として選出され、ア・リーグMVP投票では8位にランクインした[15][16]。守備では中堅手で89試合、左翼手で71試合に先発出場し、中堅手のゴールドグラブ賞の最終候補にもなった。DRS(守備で防いだ失点)23はメジャー2位であり、補殺12は全外野手の中でトップだった[13]。オフには年俸調停を回避し、1年総額385万ドル+球団オプション1年の契約を結ぶことで合意した[16]

選手としての特徴

スピードとパワーを併せ持つリードオフマン[13]。もとはパワーのない俊足巧打の選手という扱いだったが[17]、2024年シーズンでは一気に長打力が開花し、二塁打48本、三塁打14本は共にMLB全体1位。本塁打も21本を記録した。守備範囲も広く球際にも強いので、2024年は中堅手のゴールドグラブ賞の最終候補にも入った[13]

人物

2024年8月11日のヒューストン・アストロズ戦において、野次を飛ばしてきた観客に対して、同性愛者を侮辱するような内容と共に返答した。この発言により、球団はファンとLGBTQ関係の団体に謝罪を行い、デュランに対しては2試合の出場停止処分を科した。本人も「本当にひどい言葉」を使用したと述べ、「自分がどれだけ多くの人を怒らせ、失望させたか考えるととてもつらい。レッドソックス、そして何よりもLGBTQコミュニティ全体に謝罪する」と謝罪した[18]

2025年4月、Netflix制作のドキュメンタリー番組『ザ・クラブハウス: 密着! レッドソックス1年の軌跡』内にて、過去にうつ病に苦しみ、自殺未遂に追い込まれたことを告白した[19]。2022年、スタンドからのブーイングや罵声、ソーシャルメディアへの投稿などからうつ症状が悪化し、ライフル銃に弾丸を1発装填し、自殺を図って引き鉄を引いたものの、なぜか発射されなかったという[20]。放送後には「もし私の物語が1人でも誰かの助けになるなら、伝える価値があった」「孤独を感じている人たちに手を差し伸べ、助けることができるというその力こそが私に物語を伝えようという原動力となった」と述べ、メンタルヘルスの重要性について発信した[21]

2025年4月28日のクリーブランド・ガーディアンズ戦の7回、一塁側内野席の観客がデュランに対して野次を飛ばした。その野次を受けたデュランは一塁側内野席に詰め寄り、激しい口調で抗議を行った。すぐにセダン・ラファエラらチームメイトやコーチ、審判団によって制止されたが、レッドソックスのダグアウトからはデュランを援護するために選手たちが飛び出し、一時乱闘状態のようになった。その後不適切な野次を飛ばした観客は警備員によって退場させられた。ニューヨーク・ポストは野次の内容について、デュランの自殺未遂に関することだと報じている。この観客の一連の行動をガーディアンズ側も問題視し、試合後に謝罪声明を発表した[注 2]。試合後にデュランは「自分をあんなふうにさらけ出すと、敵にも自分をさらけ出すことになる。でも、僕には素晴らしいサポートスタッフがいて、チームメートやコーチたちもいるし、支えてくれるファンもたくさんいる。だからすごくありがたい」と感謝の言葉を述べた[21][22][19][23]

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
2021 BOS 33 112 107 17 23 3 2 2 36 10 2 1 0 1 4 0 0 40 1 .215 .241 .336 .578
2022 58 223 204 23 45 14 3 3 74 17 7 1 0 1 14 0 4 63 1 .221 .283 .363 .646
2023 102 362 332 46 98 34 2 8 160 40 24 2 0 2 24 1 3 90 3 .295 .346 .482 .828
2024 160 735 671 111 191 48 14 21 330 75 34 7 1 3 54 1 6 160 6 .285 .342 .492 .834
MLB:4年 353 1432 1314 197 357 99 21 34 600 142 67 11 1 7 96 2 13 353 11 .272 .326 .457 .783
  • 2024年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

WBCでの打撃成績















































2023[24] メキシコ 6 5 5 2 0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 0 0 2 0 .000 .000 .000

年度別守備成績



左翼(LF) 中堅(CF) 右翼(RF)




































2021 BOS 1 1 0 0 0 1.000 28 46 1 0 1 1.000 -
2022 - 51 116 0 0 0 1.000 7 16 0 1 0 .941
2023 27 32 0 1 0 .970 75 136 2 0 1 1.000 1 0 0 0 0 ----
2024 83 125 4 5 0 .963 105 231 8 1 2 .996 -
MLB 111 158 4 6 0 .964 259 529 11 1 4 .998 8 16 0 1 0 .941
  • 2024年度シーズン終了時

表彰

記録

MiLB
MLB

背番号

  • 40(2021年 - 2022年)
  • 16(2023年 - )

代表歴

脚注

注釈

  1. ^ スペイン語発音: [ˈxa.rɛn wi.ˈʝjãm du.ˈɾãn][2]英語発音: /ˈʤɑrən/, /ˈʤeɪrən dəˈræn/[3]
  2. ^ 謝罪全文は以下の通り。
    “We are aware of the situation that took place during today’s game between a fan and one of the Red Sox players that violated our fan conduct policy. We recognize the gravity of the behavior at issue here and take very seriously conduct of this nature. We apologize to the Red Sox organization, the player involved, fans in the area and are addressing the situation. We have identified the fan in question and will work with Major League Baseball regarding next steps. We strive to provide the best experience to visiting players and fans, and that fell short today.”
    日本語訳: 本日の試合中に、ファンとレッドソックス選手の間で発生した、ファン行動規範に違反する状況を認識しています。問題となっている行為の重大性を認識し、このような行為を非常に深刻に受け止めています。レッドソックス球団、当該選手、そして会場にいたファンの皆様にお詫び申し上げまるとともに、この問題に対処していることをご報告いたします。問題のファンを特定し、メジャーリーグベースボールと連携して今後の対応を検討させていただきます。私たちは、ビジターチームの選手とファンの皆様に最高の体験を提供することに尽力してきましたが、本日はそれが叶いませんでした。

出典

  1. ^ Jarren Duran Contract Details, Salaries, & Earnings” (英語). Spotrac. 2023年5月29日閲覧。
  2. ^ スペイン語の発音記号変換ツール”. easypronunciation.com. 2021年5月1日閲覧。
  3. ^ 英語のIPA発音記号変換(アメリカ英語)”. tophonetics.com. 2021年5月1日閲覧。
  4. ^ Milliken: Breaking down Jarren Duran’s hot start with 7 stats/metrics” (英語). 985thesportshub.com (2024年5月26日). 2024年7月21日閲覧。
  5. ^ SoxHub Podcast (2024-04-20), Jarren Duran: Certified Angry Lizard #redsox #baseball #mlb, https://www.youtube.com/watch?v=0bG-pdX_Sj8 2024年7月21日閲覧。 
  6. ^ Matt Collins (2018年6月5日). “Red Sox select Jarren Duran with their seventh round pick” (英語). SB Nation. 2021年3月13日閲覧。
  7. ^ 2019 MLB All-Star Futures Game rosters” (英語). ESPN (2019年7月3日). 2021年7月18日閲覧。
  8. ^ Jim Callis (2021年7月16日). “What to expect from Jarren Duran” (英語). MLB.com. 2021年7月17日閲覧。
  9. ^ Boston Red Sox at New York Yankees Box Score, July 17, 2021” (英語). Baseball-Reference.com. 2021年7月18日閲覧。
  10. ^ Jordan Horrobin (2021年7月20日). “Duran's first HR ignites Sox's slumbering bats” (英語). MLB.com. 2021年7月24日閲覧。
  11. ^ Deeds, Nick (2023年4月17日). “Red Sox activate RHP Brayan Bello amid series of roster moves”. https://www.yardbarker.com/mlb/articles/red_sox_activate_rhp_brayan_bello_amid_series_of_roster_moves/s1_13237_38706561 2023年4月17日閲覧。 
  12. ^ McDonald, Darragh (2023年9月4日). “Red Sox Claim Logan Gillaspie From Orioles”. https://www.mlbtraderumors.com/2023/09/red-sox-claim-logan-gillaspie.html 2023年9月4日閲覧。 
  13. ^ a b c d e 村上雅則『メジャーリーグ完全データ選手名鑑2025』廣済堂2025、p.70
  14. ^ Rソックス・デュランがオールスターMVPに選出 球団史上5人目”. MLB.JP | MLB日本語公式サイト (2024年7月17日). 2025年2月5日閲覧。
  15. ^ Cerullo, Mac (2024年11月21日). “Aaron Judge, Shohei Ohtani win MVP, two Red Sox standouts earn votes”. https://www.bostonherald.com/2024/11/21/aaron-judge-shohei-ohtani-win-mvp-two-red-sox-standouts-earn-votes/ 2024年11月21日閲覧。 
  16. ^ a b Rソックスがデュランとの調停を回避 1年385万ドルで合意”. MLB.JP | MLB日本語公式サイト (2025年1月19日). 2025年2月5日閲覧。
  17. ^ 「2021 - 2025 全30球団未来予想図 ボストン・レッドソックス」『隔月刊スラッガー』2021年3月号 日本スポーツ企画出版社 29頁
  18. ^ “MLB=球宴外野手デュランが出場停止に、同性愛者の蔑視発言”. ロイター通信. (2025年8月13日). https://jp.reuters.com/life/sports/P6WMUEIZ3BLI5IFIQ7BMJ33OBY-2024-08-13/ 2025年5月7日閲覧。 
  19. ^ a b 自殺未遂告白したレッドソックスのデュランがヤジに激高 観客退場、対戦チームが謝罪」『日刊スポーツ』2025年4月28日。2025年4月29日閲覧
  20. ^ MLB=Rソックスのデュランが自殺未遂を告白、誹謗中傷でうつ悪化」『ロイター』2025年4月8日。2025年4月29日閲覧
  21. ^ a b “「非常に深刻な野次」を問題視 レッドソックス・デュランに相手球団が謝罪=米報道”. 東スポweb. (2025年4月28日). https://news.yahoo.co.jp/articles/8f30cd5d8deb516793a8233fbc66caf83e98aa05 2025年5月7日閲覧。 
  22. ^ “レ軍デュラン 過去の自殺未遂をガ軍ファンから野次られファンと乱闘未遂 ガ軍が試合後に声明発表し謝罪”. スポニチアネックス. (2025年4月28日). https://news.yahoo.co.jp/articles/bc8ee3609e351239b6c2dfdc27d4126aba41f534 2025年5月7日閲覧。 
  23. ^ Duran exchanges words with Guardians fan after 'inappropriate' comment”. MLB.com (2025年4月28日). 2025年5月7日閲覧。
  24. ^ 2023 WBC Player Hitting StatsMLB.com 2023年3月27日閲覧
  25. ^ MLB Awards history | All-MLB” (英語). MLB.com. 2025年2月5日閲覧。

関連項目

外部リンク




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