ジェットエンジン用軸流式圧縮機の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/05 09:00 UTC 版)
「軸流式圧縮機」の記事における「ジェットエンジン用軸流式圧縮機の特徴」の解説
航空機用ジェットエンジンは、高温かつ高大気圧で流速ゼロの条件下で始動し、低温低大気圧で高流速の高空まで、様々な高度と速度に適応する事が求められる。このため単に燃料流量を増減するだけでなく、空気取入・排出面積を可変にしたり、途中の段から圧縮空気を一部抽気(ブリード)したり、可変静翼を調整するなどして、サージングと呼ばれる失速現象(コンプレッサ・ストール)を避けつつ、燃焼をコントロールして熱効率の向上をはかる。 高出力を得る為には圧縮機を高回転させるのが早道だが、全体を同じ大きな回転数で動かすと、回転半径(翼幅)の大きな初段付近のローターにおいて、翼端の対気速度が音速に近づくことによる効率の低下をもたらすなどの悪影響が生じる。逆に、回転数が小さいと後段において十分な圧縮が得られないといった問題がある。 初期のジェットエンジンは圧縮機とタービンを単一の軸でつないだだけの1軸 (single spool) 式であったが、GE J79 を最後に、低圧部と高圧部がそれぞれ別々に回転する2軸 (twin spool) 式が主流になった(低圧部用の軸は高圧部用の軸の内部を通される)。ここから、低圧部を巨大化して噴流の多くを大気中に放出するターボファンエンジンへと発展して、航空機の燃費と騒音は格段に改善された。 更にロールス・ロイスはRB211で3軸 (triple spool) 式の実用化に成功し、可変静翼を撤廃している。より一層の性能向上を意図して、ひとつの軸の回転方向を他の軸と逆向きにしたものも存在する(GEnx, トレント 900, 1000)。
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