サービスと生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 16:59 UTC 版)
島嶼の隔絶性は、地理学的に論じられてきた空間配置とは異なるパフォーマンスを示すことがある。大陸国では、大中心地~中中心地~小中心地と階層化する中心地理論が重要な主題となるのに対し、隔絶島嶼は中・小中心地を欠き、島民は高度な医療・教育・サービスを求めて遠隔の首都や集客力の大きな観光地島嶼に出向く必要が生じる。こうしたコストの反面、法定・立法上の必要なサービスの条件は本土の水準に合わせられている。このような規模の不経済性は、都市部の需要を基準とした必要なサービス提供の評価とは矛盾する現実である。 隔絶地への輸送コストによる物価高に加えて、市場の狭小さによる商品の種類の単一化が生じる。小さい市場の下では、大陸部の大都市に見られる高度な輸入代替産業が立地できず、高級品は輸入によらざるを得ない。教育や通信面でも、採算の見込めない教材や書籍、放送などを旧宗主国からの輸入・中継に依存することとなる。 島民の生活は、フェリーや飛行機の時刻表という制約に束縛される。島民はフェリーや航空機の航行スケジュールに合わせて島を出入りしなければならず、それも天候に左右される。移動時間が増大することにより、仕事や家族から離れる時間と、本土での余計な滞在費用が増加する。天候の状況に備えて、町にはそのための組織化と、計画性・順応性が求められることになる。
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