サキボソフラスコモ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 04:34 UTC 版)
サキボソフラスコモ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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1. 藻体の図
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Nitella mucronata (A.Braun) Miquel, 1841[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
pointed stonewort[1] |
サキボソフラスコモ(学名: Nitella mucronata)はシャジクモ目フラスコモ属に分類される藻類の1種である。長さ 10–40 cm、皮層を欠き、不結実枝(生殖器をつけない小枝)は1–2回、結実枝(生殖器をつける小枝)は2–3回分枝し、最終枝先端は突起状(図1)。雌雄同株。卵胞子壁は網目状。湖沼や水路、水田などで見られる。環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されている (2025年現在)。種小名の mucronata は、ラテン語で「先端が短く鋭い突起状の」を意味する[1]。
特徴
藻体は長さ 10–40 cm、主軸の直径は 0.5–1 mm、濃緑色[1][2](図1, 2)。小枝は生殖器をつけない不結実枝と生殖器をつける結実枝に分化しており、不結実枝は1–2(–3)回分枝し、結実枝は2–3回分枝するとともに密に生じる[1][2](図2a)。最終枝は2(まれに3)細胞からなり、終端細胞が微小で突起状だが落ちやすい[1][2](図2a)。
雌雄同株であり、生殖器は結実枝の節につく[1][2]。造精器は直径 200–300 µm、生卵器は単生または双生、480–590 × 450–480 µm、らせん数は7–9本、管細胞は先細で小冠につながる[1][2]。卵胞子は褐色から暗褐色、240–350 × 240–300 µm、らせん縁は6–7本、卵胞子壁には網目模様(らせん縁間に網目が9–11個)がある。
分布と生態
南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに分布している[1]。日本では本州、四国、九州から報告されている[3]。
湖沼、水路、水田などに見られる[1][3]。水質はアルカリ性で貧栄養から中栄養の水域が多い[1]。多年生であることが報告されている[1]。
保全状況評価
日本では近年の水質悪化や農業形態の変化などによって減少している[3]。ヨーロッパにおいても富栄養化などによって減少しており、いくつかの地域や国で絶滅危惧種に指定されている[1]。
環境省レッドリストでは、第3次以降は絶滅危惧I類に指定され、第5次では絶滅危惧IB類に指定されている(2025年現在)[3]。
絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
栃木県、宮崎県では絶滅危惧I類、秋田県では準絶滅危惧、福井県、京都府では要注目種、広島県、愛媛県では情報不足に指定されている[3]。
脚注
出典
外部リンク
- “サキボソフラスコモ”. いきものログ. 環境省. 2025年10月18日閲覧。
- サキボソフラスコモのページへのリンク