コレステロールの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/27 09:58 UTC 版)
「コレステロール依存性細胞溶解素」の記事における「コレステロールの役割」の解説
細胞膜中のコレステロールの存在はCDCの膜孔形成に必須である。脂質二重層におけるコレステロール分子の配置も結合の成否に重要であると考えられている。コレステロールの非極性炭化水素尾部は膜脂質二重層の極性中心に向かって配向し、一方で3-β-OH基は、脂肪酸鎖のエステル結合に近づくように配向し、グリセロール主鎖は膜表面近くに位置する。膜表面近くの3-β-OH基含めコレステロールはリン脂質頭部基に比べてあまり露出しない。膜表面で膜外分子がコレステロールを利用可能かどうかは、リン脂質やタンパク質などの他の膜成分との相互作用に依存する。コレステロールの多くがこれらの成分と相互作用すると、膜外分子との相互作用は少なくなる。コレステロールの利用可能性に影響する要因には極性頭部のサイズおよび、リン脂質の3-β-OHコレステロールとの水素結合能である。コレステロールはリン脂質と会合し、化学量論的複合体を形成し、膜の流動性に寄与する。 コレステロール濃度がある値を超えると、遊離コレステロールは膜の外で沈殿し始める。CDCの結合および膜孔形成はコレステロール濃度が膜リン脂質の会合能力を上回るときに起こり、CDCは過剰なコレステロールと結合できるようになる。 水溶液中のエピコレステロール凝集体の存在下ではPFOの変化は現れないが、コレステロール凝集体の存在下ではPFOのコンフォメーション変化およびオリゴマー化が開始される。エピコレステロールとコレステロールは、3-β-OH基の配向が異なり、エピコレステロールはアキシアル、コレステロールはエカトリアルである。ヒドロキシル基の配向はCDCの結合/膜孔形成に影響するので、ドメイン4の結合ポケットにステロールをドッキングするために、または脂質表面に適切に露出させられるためにエカトリアル配座が必要であると考えられている。
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