コチーによるエウフォルビア・カンデラブルム = E. murielii
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:39 UTC 版)
「エウフォルビア・カンデラブルム」の記事における「コチーによるエウフォルビア・カンデラブルム = E. murielii」の解説
次にフランスの建築家ピエール・トレモー(英語版)は現在のスーダン東部の、エチオピアから流れてきた青ナイル川がスーダンに入ってくる辺りに位置する Qeissan に程近いKaçane山でユーフォルビアを発見し、既に1753年にリンネにより記載済みであったユーフォルビア・カナリエンシス(英語版)の名をあてて樹高や枝の形態に関する記述を行った。この報告は1853年のことであり、その後スーダン東部の青ナイル流域の Fassoglu山付近で多肉性の高木が見つかったが、これをトレモーの言及したユーフォルビアと同種として1857年新たに Euphorbia candelabrum の学名を与えたと考えられるのがテオドール・コチーであった。命名規約における新種記載の条件を満たした学名に被りが見られる場合は先に発表されたものが有効となる。今回の場合、関連する文献の中で最も言及が早いのは1853年のトレモーによるスーダン産のものであるが、彼はあくまでも既存の Euphorbia canariensis という呼称しか用いておらず、同じ種を指して実際に E. candelabrum として言及を行うのは1857年のコチーが初めてである。しかし、その前の1855年におけるアンゴラ産の種についてのヴェルヴィッチュの言及が有効な学名として認められる以上、命名が被ってしまったスーダン産の種に関しては無効な学名となり、このような場合は新たに任意の種小名を与える、あるいはシノニムとされている学名を正式な学名として格上げするなどの方法を選択し、無効状態を回避するよう迫られることとなる。今回の場合、実際に取られた選択肢は後者の方であった。コチーによる E. candelabrum の記載から55年後、ニコラス・エドワード・ブラウンがウィリアム・ターナー・シセルトン=ダイヤーの『熱帯アフリカ植物誌』第6巻上でスーダン産ユーフォルビアとして Euphorbia murielii(p. 589)と Euphorbia calycina(p. 597)の2つを新種記載したが、これらは1952年にコチーの E. candelabrum のシノニムとされた。そして2019年に言及ページが先である E. murielii を正式な学名とし、コチーによる E. candelabrum と E. calycina をそのシノニムとして下に置くという解決策が取られた。
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