ガメラマーチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/03 20:50 UTC 版)
『ガメラマーチ』は、1968年(昭和43年)3月20日に公開された大映の映画『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』の主題歌。
解説
大映のドル箱シリーズである「ガメラシリーズ」の主題歌として、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』から登場し、以後、大映の倒産前の最後の作品である『ガメラ対深海怪獣ジグラ』まで使用され続けた。
作詞者は大映の永田雅一社長の実子で専務・副社長だった永田秀雅(英語版)。作曲は広瀬健次郎。永田は「映画を観に来る子供たちをいい子に育てたい」という意味から、ガメラを全くのお友達、「僕らのガメラ」にしたかったといい、この気持ちを込めて前作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』の主題歌『ガメラの歌』に続いて本曲を作詞した。歌詞は三番まであり、「日・月・火・水・・・」と曜日を怪獣と絡ませた内容となっている。また、「強いぞガメラ!」「頑張れガメラ! 」「咥えて離すな」「火炎噴射」「回転ジェット」「体当たり」「殺人音波」など、一部の歌詞は『ガメラの歌』を踏襲している[1]。
ガメラシリーズを担当した湯浅憲明監督によると、本曲を作詞した永田専務が、会議室からはりきって出てきて、「おいガメラの歌が出来たから、みんな聞け」と、スタッフの前で「強いぞガメラ・・・」と朗読。専務の前ということで全員拍手したところが「湯浅君、みんなが感激していいと言ってくれたから、これ使ってくれ」ということになり、レコーディングとなった。歌唱している「大映児童合唱団」というのは、湯浅監督によると「そこらへんの子を集めてきて歌わせたもの」だそうで、「そんなものないんですよ」ということである[2]。
湯浅監督はこの歌について「聞いているうちに覚えちゃういいメロディーですよね、変にプロの作詞でないのがいいのかもしれませんね」とコメントしていて、「新しいガメラ[注釈 1]にもこの歌、どこかに流して欲しかったなあ。そうすることで、新旧のガメラがすんなりと繋がるんですがねえ」と語っている[2]。
2021年に公開された『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の外伝小説である『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』には、ガメラをモチーフにした「玄武」またはガメラ自身が登場しており[注釈 2]、その際に京都の妖怪達が『ガメラマーチ』の替え歌を歌っている[注釈 3]。
2021年の作品『ネズラ1964』では、『宇宙怪獣ガメラ』に出演したマッハ文朱が歌う『ネズラマーチ』が『ガメラマーチ』へのオマージュとして挿入されている[6]。
2023年の『GAMERA -Rebirth-』では、第6話のエンドクレジットにて片山修志によるアコースティックバージョンが使用された[7]。
昭和後期の「ゴジラシリーズ」も「ガメラシリーズ」の影響を受けてきた事が指摘されており[8][9]、関沢新一による『怪獣マーチ』は歌詞の様相や湯浅と関沢の関係性[注釈 4]からも『ガメラマーチ』を意識しているとされている。
なお、ウクライナ出身の女性陸上選手であり、略称として「ガメラ」があるタチアナ・ガメラ=シュミルコに関する報道でも、『ガメラマーチ』または『ガメラの歌』の歌詞を意識した見出しが用いられたこともある[10]。
ソノシート
朝日ソノラマから、映画公開に合わせてソノシートが発売された。B面は『ぼくらのガメラ』。盤によってはA・B曲が逆のものもあった。ガメラと新怪獣バイラスの解剖図解、「迫力ドラマ」と題したミニドラマなどで構成されていた。『ガメラ対大悪獣ギロン』公開版以降は収録楽曲は『ガメラマーチ』のみ。『ガメラ対深海怪獣ジグラ』では大映レコードからLPレコード盤も発売された。
- ガメラマーチ
- ぼくらのガメラ
- 作詞:永田秀雅
- 作・編曲:広瀬健次郎
- 歌唱:大映児童合唱団
- 演奏:大映レコーディングオーケストラ
使用作品
- 『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968年、大映)
- 『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年、大映)
- 『ガメラ対大魔獣ジャイガー(1970年、大映)
- 『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(1971年、大映)
- 『GAMERA -Rebirth-』(2023年、KADOKAWA)
- 『CR GAMERA THE BATTLE PACHINKO』(2009年、サミー)
脚注
注釈
- ^ 徳間書店が1995年(平成7年)に製作した『ガメラ 大怪獣空中決戦』のこと。同作の製作準備段階で用意された検討用シナリオには 小中千昭・小中和哉兄弟が用意した物と岡田恵和が用意した物があり、小中兄弟のシナリオでは「ギャオスをガメラが倒し、子供達が『ガメラマーチ』を歌って終わる」という内容だった。この小中兄弟のシナリオ(『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』との類似性があるとされている)、後の『小さき勇者たち〜ガメラ〜』と東映の『デジモンテイマーズ』と円谷プロダクションの『ウルトラマンティガ』に再利用された[3]。
- ^ 厳密には、本作に登場した「玄武」は本名(ガメラ)を明かしておらず、あくまでも「玄武という呼称でも知られている」や「玄武であって玄武だけでない存在」という描写がされている。
- ^ 歌詞における「ガメラ」の部分が「玄武」に差し替えられており、『ガメラの歌』と共通する歌詞が特に挿入されている。また、その際の妖怪たちの喧騒や玄武を取り巻く描写には、「夜の墓場で運動会」「子供の頃は感じていた」「目に見えないその力を」「大きな意志の力」と、『ゲゲゲの鬼太郎』の『ゲゲゲの鬼太郎の歌』と『ガメラ 大怪獣空中決戦』の主題歌である『神話』を意識した表現が挿入されている[4][5]。
- ^ 両者とも清水宏の弟子であり、共に子供好きとされている。また、山内正は(『大魔神』や『鯨神』の音楽を担当した)伊福部昭の門下であり、『怪獣大戦争マーチ』を作曲した伊福部からの影響を受けている。また、伊福部の関係者としては「ガメラシリーズ」と「大魔神シリーズ」と間接的な関係性を持つ『ゲゲゲの鬼太郎』と『犬夜叉』[9]を担当した和田薫もおり、和田の担当した『ゲゲゲの鬼太郎 大海獣』には『鯨神』を意識している「大海獣」が、『犬夜叉 紅蓮の蓬莱島』にはガメラとの類似性も見られる「剛羅」が登場している。
出典
- ^ 湯浅憲明(監修)、2001年9月1日、『大怪獣ガメラ秘蔵写真集』、130頁、134頁、徳間書店
- ^ a b 唐沢俊一、2006年04月14日、『ガメラ創世記 -映画監督・湯浅憲明-』145-146頁、エンターブレイン
- ^ 電撃ホビーマガジン編集部、2014年、平成ガメラ パーフェクション、237-244頁、KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- ^ 峰守ひろかず, 渡辺雄介, 2021年,『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』, 265-271頁, メディアワークス文庫
- ^ 妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚 – 齢70歳の安倍晴明が登場! ラスボスとのバトルには玄武(亀)が火炎を吐き、回転しながら空を舞う…って!ガメラ登場か。
- ^ 映画『ネズラ1964』公式Xアカウント、2020年11月27日、本日11月27日は『大怪獣ガメラ』公開日!祝ガメラ55周年!そんな記念日に「ガメラマーチ」をオマージュした「ネズラマーチ」を大公開!是非お聴きください♪、X(Twitter)
- ^ GAMERA MARCH -Rebirth- Edition
- ^ G. H. (Gman), March 15, 2014, Remember When Godzilla "Ripped Off" Gamera?, Scified
- ^ a b 小野俊太郎、2018年12月28日、『ガメラの精神史: 昭和から平成へ』、115-116頁、121-124頁、207頁、小鳥遊書房
- ^ 産経新聞、2014年1月26日、強いぞガメラ! 連覇達成ガメラシュミルコ 粘りの赤羽、37キロ過ぎで力尽きる
ガメラマーチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 08:46 UTC 版)
『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降の旧大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雅が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと監督・湯浅は語っている。歌詞は3番まであり、1番では「悪魔の虹」、2番では「殺人音波」、3番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。 同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。
※この「ガメラマーチ」の解説は、「ガメラ」の解説の一部です。
「ガメラマーチ」を含む「ガメラ」の記事については、「ガメラ」の概要を参照ください。
- ガメラマーチのページへのリンク