カレツキ派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 19:51 UTC 版)
「ポスト・ケインズ派経済学」の記事における「カレツキ派」の解説
カレツキ派(Kaleckian)とは、ミハウ・カレツキの経済理論から影響を受けたポスト・ケインズ派の一派である。カレツキの景気循環理論はケインズの『一般理論』に欠如していたミクロ経済学的基礎を備えていたため、1970年代を通じてポスト・ケインズ派経済学の出現を先導した。彼らは、階級間コンフリクトの作用に焦点を合わせ、不完全競争経済の下での価格形成と所得分配、および景気循環と経済成長の仕組みの解明を試みる。カレツキ派は、以下の3点において『一般理論』におけるケインズの立場と異なる。 景気循環の原因である投資の不安定について、ケインズが経済人の期待の主観的要素(アニマル・スピリット)を重要視したのに対し、カレツキは企業の確信は主に現在の利潤によって決定されるので彼らの主観的要素をこれ以上分析する必要はないとした。 流動性選好理論において、ケインズが貨幣に対する総需要および総供給を仮定したのに対し、カレツキは貨幣が経済システムにとって内生的であると考えた。 ケインズが長期利子率を上回る投資の期待収益率の不安定性によって投資の不安定を説明したのに対し、カレツキは企業部門の内部流動性が利潤や外部金融の水準とともに変動することが投資の不安定性の原因であるとした(危険逓増の原理)。ミンスキーの「金融不安定性仮説」(Financial Instability Hypothesis)もこれを独自に発展させたものである。
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