カメムシの吸汁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/10 16:08 UTC 版)
カメムシは口器が注射器の針のような細い管になっており、これを籾の中に差し込んで玄米からデンプンを吸う。出穂前は稲の茎からも養分を吸う。多数のカメムシが取りつきイネの育ちが悪くなる場合もあるが、この被害では斑点米は生じない。斑点米になるのは稲籾を吸われた場合である。籾を吸うカメムシは、差し込んだ口から唾液を出し、中の子実を溶かして吸い上げる。このとき、大型のカメムシは硬い籾殻のどの部分にも穴を開けられるが、口器が弱い小型のものは薄くなっている部分や隙間を狙う。 斑点米を作るカメムシは日本で65種知られているが、重要なものは10種余りで、気候による地域差と、時代による変化がある。東北地方に例をとると、1970年代にはオオトゲシラホシカメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメ、コバネヒョウタンナガカメムシの3種の被害が多かった。1980年代以降カスミカメムシ類の被害が増え、2000年代にはアカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメが最重要になった。うちアカヒゲホソミドリカスミカメの被害は1970年代には北海道が中心だったが、1990年代から拡大し、東北地方北部と北陸に広がったものである。 カメムシに吸汁された籾が、一様に斑点米になるわけではない。吸汁によって籾が重度の被害を受けると、死米となる。また、原因となるカビを体内にもっていないカメムシに吸われた場合、目に見えた違いがないので斑点米にはならない。カメムシによってカビを植え付けられ、そのカビが繁殖したものが斑点米になる。
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