カメムシ亜目の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/11 15:25 UTC 版)
カメムシ亜目ではいくつかのカメムシ、アメンボ類、ナベブタムシなどが知られる。アメンボ類では、例えばシマアメンボは普通の個体は無翅であり、時に有翅個体が生じる。 沖縄のサトウキビの害虫であるカンシャコバネナガカメムシでは、長翅型と短翅型のほかに、短翅型よりさらに翅が短いものがある。これらの出現はやはり密度に依存し、高密度で長翅型が多く出現するのであるが、同時に短翅型より短い型も増えることがわかっている。それらは体格もそれ以外の型より小さくなっている。これは、条件が悪くなったときに、遠くに移動するのは有効な戦略ではあるが、危険が伴い、力がない場合は全滅するかも知れない。したがって、それをあきらめて悪くなった環境下でも何とか増殖する、というのがそれなりに有効な戦略なのだろうとされる。実際にカンシャコバネナガカメムシのコロニーから多数の長翅型が飛び去った後、サトウキビの被害が減少してその株が元気になる、という例が見られるという。 またこの種では長翅型と短翅型の出現に日長と温度が影響することも知られている。日長では長日が、温度については高温の方が長翅型が出やすい。沖縄ではこの昆虫は年三化性で、春・夏・秋に発生するが、長翅型が出やすいのはこのうちの夏であり、冬は短翅型ばかりになる。この意味について、夏に繁殖が激しく、高密度になりやすいこと、サトウキビの栽培面積も増えるので移動に都合がよいことによるかも知れないとの判断もある。 アメンボでは、高知の個体群で長日では短翅型、休眠を誘発するよりやや長い短日で長翅型が出る。この種も年三化性で、これを季節に当てはめると春の世代は短日型で繁殖を行い、夏の世代は長翅型、秋の個体も長翅型となる。夏以降の雨の多い時期には水域も増えるから、移動し分散するのにも適していると考えられる。
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