オーバークロックの手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/16 23:46 UTC 版)
「オーバークロック」の記事における「オーバークロックの手法」の解説
クロックオシレータ交換 Z80や6502の世代から行われていた伝統的な手法である。原発振器を略して原発乗っ取りなどと表現することもある。クロックモジュールを本来の周波数より高い周波数のものに交換することにより、CPUを高い周波数で作動させる。マザーボードの設計にもよるが、CPU以外へ供給するクロックとしても共用している場合は影響が大きく、キーボードが正しく操作できなかったり、ディスクドライブへのアクセスが不安定になることなどが見受けられた。 倍率変更 インテルのIntel DX4や後期型のPentium以降のCPUでは、それまでの固定逓倍率に変わってCPU内部クロックをシステムクロックを元に一定の逓倍率で生成し、逓倍率の決定・変更をCPU外部のマザーボード上で行うようになった。逓倍率決定のジャンパスイッチがマザーボード上に存在し、これを利用することでより安価な低逓倍率CPUをより高い逓倍率で強制的に動作させる、本記事の用語でいうところのカジュアルなオーバークロックが流行した。ジャンパスイッチの変更というハードウェア的変更を必要としないBIOSの設定で逓倍率を変えられるマザーボードが発売され、瞬く間にそういうマザーボードが主流にまでなった。しかし、ユーザー側に委ねていた逓倍率設定を悪用した低逓倍率CPUを高逓倍率製品と偽って販売するリマーク品が出現したことから、インテルは後期型のMMX Pentiumや後期型のPentium IIでは逓倍率を固定して予防するようになり、この方式は一旦終焉に至った。 逓倍率変更はメーカー非公認の方法だったが、公式の機能として消費電力の低減を意図して一定範囲で逓倍率変更を行うCPUが発売されると、公認された一定範囲で逓倍率を変更するという手法が再び利用されるようになった。後述のシステムクロック向上にて僅かしか上げられない製品が主流となると、変更可能な逓倍率の範囲が広い特製のCPUで逓倍率を変更する手法が2010年頃からの主流となっている。 システムクロックの向上(近年のマザーボードの場合) 低価格な低いシステムクロックで動作させるCPUを高価格な高いシステムクロックと同じクロックで動作させる事で、オーバークロックを行う方法。原理としては上述の「クロックオシレータ交換」と同じだが、マザーボードが複数のシステムクロックを生成できるように対応していることから、気軽に実施することが出来る。マザーボード上のジャンパースイッチやディップスイッチでの操作がBIOS設定内容の一部に含められ、さらには稼働中のOS上からも変更することも出来る製品が増えている。一つのクロックジェネレータから様々な逓倍率を掛けあわせてマザーボード全体にクロック信号を供給していた初期のマザーボードでは、システムクロックの変更がマザーボード全体の様々な部品の動作クロックに影響を与えていたが、CPUにはまだ余裕があっても一部の部品が過剰なクロック信号で正常に動作が出来なくなると、その時点が限界になってしまう。そこでクロック信号の供給を複数に分けることで、特定のクロック信号だけ変化させる、より高いクロックで動作させることが出来る製品も発売されるようになってきた。
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