オーバルBA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/09 00:08 UTC 版)
オーバルBA (Oval BA) は、木星表面の嵐。大赤斑に次ぐ大きさの赤い嵐で、南半球中緯度、大赤斑よりやや南の南温帯ベルト (South Temperate Belt = STB) 内にある。
- 1 オーバルBAとは
- 2 オーバルBAの概要
オーバルBA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 06:20 UTC 版)
オーバルBAは、木星の南半球に現れた大赤斑と同様のより小さな赤い嵐に与えられた公式の名称である。レッドジュニアや中赤斑等とも呼ばれることもある。南温帯ベルトに存在するオーバルBAは、2000年に3つの小さな白い嵐が衝突し、勢力が強まって形成された。 後に融合してオーバルBAとなる3つの白い嵐の形成は、南温帯ゾーンが暗い領域によって3つの長い部分に引き裂かれた1939年まで遡ることができる。木星観測者のElmer J. Reeseは、暗い領域をAB、CD、EFと名付けた。この裂け目は拡張し、STZの残りの部分を収縮させて、白いオーバルFA、BC、DEが形成された。オーバルBCとDEは1998年に融合してオーバルBEとなり、その後、2000年3月にオーバルBEとFAが融合してオーバルBAが形成された。 オーバルBAは、2005年8月頃からゆっくりと赤くなり始めた。2006年2月24日、フィリピンのアマチュア天文学者のChristopher Goが色の変化を発見し、大赤斑と同じくらいになったと記録した。これを受け、NASAの作家Tony Phillipsはこれを「レッドジュニア」と呼ぶことを提案した。 2006年4月、年内にオーバルBAが大赤斑に収斂されると信じる天文学者のチームがハッブル宇宙望遠鏡を用いてこの嵐を観測した。嵐は2年毎にすれ違っていたが、2002年と2004年のすれ違いでは興味深い出来事は起こらなかった。ゴダード宇宙飛行センターのAmy Simon-Millerは、2006年7月4日に2つの嵐が再接近すると予測した。7月20日、2つの嵐がすれ違う様子がジェミニ天文台で撮影されたが、融合は起こらなかった。 オーバルBAの色がなぜ赤色に変わったのかは分かっていない。2008年のバスク大学のSantiago Perez-Hoyosの研究によると、最も確からしい機構は、着色化合物が、オーバルBAの上層で太陽からの高エネルギー光子と相互作用した結果だとされる。風が深層からある種の気体を吹き飛ばすほど強まり、それが日光に晒されると色が変わると考える者もいる。 オーバルBAは、2007年にハッブル宇宙望遠鏡によって行われた観測によると、徐々に強くなっている。風速は大赤斑に匹敵し、その他の嵐よりも遙かに速い618km/hに達した。2008年7月時点で、その大きさは地球程度の直径となり、大赤斑の約半分となった。 オーバルBAと似たものには、大赤斑に破壊された小赤斑がある(NASAはこれに「ベビー・レッド・スポット」という渾名を付けた)。元々はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された白いスポットだったものが2008年5月に赤くなり、カリフォルニア大学バークレー校のImke de Paterらにより観測が行われた。小赤斑は2008年6月末から7月初めに大赤斑と衝突し、小片になって飲み込まれた。残っていた赤色の残骸も7月中旬には再び大赤斑と衝突して消え、2008年8月までには完全に無くなった。この衝突の間、オーバルBAも近くにあったが、小赤斑の破壊には関わっていないように見えた。
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