エウオプロケファルスとは? わかりやすく解説

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エウオプロケファルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/31 06:18 UTC 版)

エウオプロケファルス
Euoplocephalus
生息年代: 中生代白亜紀後期, 76–70 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
エウオプロケファルスの骨格
地質時代
後期白亜紀カンパニア期からマーストリヒト期
(約7,600万 - 約7,000万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
階級なし : 頬竜類 Genasauria
亜目 : 装盾亜目 Thyreophora
下目 : 曲竜下目 Ankylosauria
: アンキロサウルス科 Ankylosauridae
亜科 : アンキロサウルス亜科 Ankylosaurinae
: アンキロサウルス族 Ankylosaurini
: エウオプロケファルス属 Euoplocephalus
学名
Euoplocephalus
Lambe1910
タイプ種
Euoplocephalus tutus
(Lambe1902)

エウオプロケファルス (学名 Euoplocephalus) は、カナダアルバータ州から化石が発見された、アンキロサウルス科に属する曲竜類恐竜[1]。産出層準は後期白亜紀カンパニアン期の地層にあたるダイナソーパーク層の下部~中部である[1]。推定全長7メートル[2]、推定体重2トン[1]

タイプ種エウオプロケファルス・トゥトゥスEuoplocephalus tutus)が知られる[1]。属名はギリシア語で「十分に武装した頭」を意味し、タイプ種の種小名は「守られている」を意味する[2]。日本語では「ユーオプロケファルス」と英語発音で呼ばれることもある。

特徴

曲竜類の中でも最大級の属であり、また最も研究が進んでいる。15体分の頭蓋骨、複数の歯、および1個体の装甲がまだ付いた状態で発見されたほとんど完全な骨格の標本が報告されている。また発掘例の中では尾の棍棒が最も多い。

尾の先に骨質の塊でできた棍棒があることからアンキロサウルス科に分類される。しかし、科を代表するアンキロサウルスは発掘例が少なく不明な点が多いため、アンキロサウルス科の特徴とされるもののほとんどはこの属に基づいている。棍棒はティラノサウルスなどの天敵に対して強力な武器になったと考えられているが、見た目の抑止力や種属内でのディスプレイであった可能性も高い。頸部や背面は帯状の骨板で覆われ、背中には多数の骨質のスパイクが突き出ていた[3]

広いくちばし状の口を持つが歯は小さく、柔らかい植物を食べていたと考えられている。またエウオプロケファルスやアンキロサウルスなどの北米産のアンキロサウルス科は幅広く、寸胴のタンクのような腹部を持ち、口で刈り込んだ食物を発酵させることによって消化していたのではないかと推測されている。四肢は短いが後肢の方が長く、また足跡の化石からは見た目から想像するほど鈍足の動物でなかったことがわかっている。

発見の歴史と分類

1902年、古生物学者ローレンス・モリス・ランベにより最初の標本(模式標本)が発見され、学名として Stereocephalus (ステレオケファルス)を提案されたが、その名前は既に昆虫の学名に使用されていたため、1910年Euoplocephalus に変更された。 この新しい学名は10報以上の正式な科学文献にスペルミスによる誤った方法で記載されている。 またエウオプロケファルスはかつて一度アンキロサウルスと同属であると考えられたこともある。

本属の2番目の種とされたエウオプロケファルス・アクトスクアメウス (E.acutosquameus) は、元々1924年ウィリアム・パークス英語版によって発見されディオプロサウルス(Dyoplosaurus) と命名されたものである。Arbour et al. (2009)による再記載ではこの属は有効な属とされ、本種はエウオプロケファルス属から除外された[4]

また、かつて尾の棍棒にとげを持つ姿で復元されたスコロサウルス (Scolosaurus) はとげの位置の復元が間違っており、実際はエウオプロケファルス・トゥトゥスであったことが指摘されたが、2013年にエウオプロケファルスと異なる属として改めて記載された[5]

脚注

  1. ^ a b c d グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、280-281頁。ISBN 978-4-320-04738-9 
  2. ^ a b 松田眞由美『語源が分かる 恐竜学名辞典』小林快次、藤原慎一 監修、北隆館、2017年1月20日、263頁。 ISBN 978-4-8326-0734-7 
  3. ^ ヘーゼル・リチャードソン、デイビッド・ノーマン(監修)『恐竜博物図鑑』出田興生(訳)、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年、134-135頁。 ISBN 4-7875-8534-7 
  4. ^ Arbour, V. M.; Burns, M. E.; Sissons, R. L. (2009). “A redescription of the ankylosaurid dinosaur Dyoplosaurus acutosquameus Parks, 1924 (Ornithischia: Ankylosauria) and a revision of the genus”. Journal of Vertebrate Paleontology 29 (4): 1117. doi:10.1671/039.029.0405. 
  5. ^ Penkalski, P.; Blows, W. T. (2013). “Scolosaurus cutleri (Ornithischia: Ankylosauria) from the Upper Cretaceous Dinosaur Park Formation of Alberta, Canada”. Canadian Journal of Earth Sciences 50 (2): 130110052638009. doi:10.1139/cjes-2012-0098. 




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