ウォルビス‐ベイとは? わかりやすく解説

ウォルビスベイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/04 15:48 UTC 版)

ウォルビスベイ

Walvisbaai

Walfischbucht
Walvis Bay
港湾地区の空撮(2005年5月)

紋章
愛称: 
Windwaai baai
標語: 
In utrumque paratusラテン語で「どちらの場合でも用意はできている」)
ウォルビスベイ
ナミビアにおける位置図
座標:南緯22度57分22秒 東経14度30分29秒 / 南緯22.95611度 東経14.50806度 / -22.95611; 14.50806座標: 南緯22度57分22秒 東経14度30分29秒 / 南緯22.95611度 東経14.50806度 / -22.95611; 14.50806
 ナミビア
エロンゴ州
建設 1840年
政府
 • 市長 トレビーノ・フォーブス
面積
 • 合計 1,124 km2
人口
(2011年)[1]
 • 合計 62,096人
等時帯 UTC+2 (中央アフリカ時間)
気候 BWk
テンプレートを表示
登録
登録日 1995年8月23日
登録コード 742[2]
南アフリカ統治期のウォルビスベイの地図

ウォルビスベイ英語: Walvis Bayアフリカーンス語: Walvisbaaiドイツ語: Walfischbucht)は、ナミビア共和国の沿岸中部に位置する港湾都市である。エロンゴ州に属し、大西洋に面する天然の良港を抱える。「Walvis」はアフリカーンス語の「くじら」であるため、英語風でホエールベイと呼ばれることもある。

ウォルビスベイは干潟砂洲が広がるウォルビス湾に面し、一帯にフラミンゴなどの鳥類が生息している。1995年にラムサール条約登録地となった[2]

ウォルビスベイを含む一帯は、南アフリカ共和国がナミビア独立前に自国に併合していたため、1990年3月21日のナミビア独立後も引き続き南ア領であるとして自国領土とし、飛び地として占領していた。これに対しナミビア政府が再三の返還要求を行った結果、1994年3月1日にナミビアに返還された[3]

歴史

もともとウォルビスベイがあるウォルビス湾は、1487年12月8日にバルトロメウ・ディアスが航海中に発見し「O Golfo de Santa Maria da Conceição」と名づけたものである。しかしポルトガルはこの地に対し領有権を主張しなかった。その後、1840年イギリスがケープ植民地と自国との航路の中継地にするためにウォルビス湾と周辺一帯の領有を開始し、さらに1910年にはドイツの進出を防ぐために成立させた南アフリカの一部として併合した。これに対しドイツは第一次世界大戦中に占領するも、戦後に南西アフリカ国際連盟によって南アの委任統治領となった際にウォルビスベイ一帯も南西アフリカに併合された。しかし、南西アフリカが南アに不法占領されていた1977年、首都ウィントフックの外港として戦略上重要なウォルビスベイ一帯がナミビア独立勢力に奪取されることを恐れた南アは一帯をケープ州に併合した。

南アは1990年3月21日に南西アフリカがナミビアとして独立した後も、引き続き自国領土であるとして実効支配を行っていた。これに対しナミビア政府が再三の返還要求を行った結果、1994年3月1日にナミビアに返還された。要求に応じた理由は、ウォルビスベイが南ア領になると周囲を囲むナミビアとの間で税関の煩雑な手続きが必要となってしまうことや、ナミビアが独立したにもかかわらず南アのアパルトヘイトによる経済制裁がウォルビスベイだけ続くのではないかと考えた現地の企業や経済界(しかもこれらは白人や英米南ア資本であった)が、ウォルビスベイのナミビア引渡しを南アに強く要求したためであった。このように現地に味方がいないと悟った南アが引渡しを現実に考えるようになり、返還が実現したのである。

ただ、1994年4月に南アの政権を奪取したアフリカ民族会議 (ANC) は、ナミビア与党の南西アフリカ人民機構 (SWAPO) と旧来から親密な関係であったため、仮に3月に返還されなかったとしても、ウォルビスベイがやがて返還されるのは時間の問題であったといえる[4]

気候

ウォルビスベイ市Pelican Point(7 m)の気候(1958-1984)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 25.3
(77.5)
26.4
(79.5)
34.5
(94.1)
35.0
(95)
36.0
(96.8)
32.5
(90.5)
32.9
(91.2)
33.4
(92.1)
31.3
(88.3)
27.5
(81.5)
28.3
(82.9)
25.5
(77.9)
36
(96.8)
平均最高気温 °C°F 20.0
(68)
20.3
(68.5)
19.6
(67.3)
18.6
(65.5)
19.0
(66.2)
18.8
(65.8)
17.8
(64)
16.4
(61.5)
15.8
(60.4)
16.6
(61.9)
17.7
(63.9)
19.0
(66.2)
18.3
(64.9)
日平均気温 °C°F 17.6
(63.7)
17.9
(64.2)
17.2
(63)
15.7
(60.3)
15.6
(60.1)
15.2
(59.4)
14.1
(57.4)
13.2
(55.8)
13.2
(55.8)
14.0
(57.2)
15.3
(59.5)
16.6
(61.9)
15.5
(59.9)
平均最低気温 °C°F 15.2
(59.4)
15.5
(59.9)
14.7
(58.5)
12.9
(55.2)
12.1
(53.8)
11.4
(52.5)
10.3
(50.5)
10.1
(50.2)
10.7
(51.3)
11.5
(52.7)
12.9
(55.2)
14.2
(57.6)
12.6
(54.7)
最低気温記録 °C°F 10.5
(50.9)
9.2
(48.6)
10.5
(50.9)
8.5
(47.3)
7.0
(44.6)
5.0
(41)
3.4
(38.1)
4.4
(39.9)
6.1
(43)
5.0
(41)
8.5
(47.3)
9.6
(49.3)
3.4
(38.1)
降水量 mm (inch) 1.0
(0.039)
2.0
(0.079)
5.0
(0.197)
1.0
(0.039)
1.0
(0.039)
2.0
(0.079)
0.0
(0)
0.2
(0.008)
0.1
(0.004)
0.1
(0.004)
0.7
(0.028)
0.1
(0.004)
13.2
(0.52)
平均降水日数 (≥0.1 mm) 0.6 0.8 1.1 0.5 0.4 0.5 0.0 0.4 0.5 0.4 0.6 0.4 6.2
湿度 87 87 89 89 86 81 82 86 89 88 88 88 86.7
平均月間日照時間 232 189 211 237 251 231 236 220 189 226 210 214 2,646
出典1:Deutscher Wetterdienst[5]
出典2:Danish Meteorological Institute[6]

ギャラリー

脚注

  1. ^ Table 4.2.2 Urban population by Census years (2001 and 2011)”. Namibia 2011 – Population and Housing Census Main Report. Namibia Statistics Agency. p. 39. 2016年8月24日閲覧。
  2. ^ a b Walvis Bay”. Ramsar Sites Information Service (1995年8月23日). 2018年4月25日閲覧。
  3. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説”. コトバンク. 2018年5月12日閲覧。
  4. ^ 吉田一郎『世界飛び地大全』社会評論社、2006年、173-174頁。 
  5. ^ Klimatafel von Pelican Point / Walfisch-Bucht / Namibia”. Federal Ministry of Transport and Digital Infrastructure. 2016年11月4日閲覧。
  6. ^ STATIONSNUMMER 68104”. Ministry of Energy, Utilities and Climate. 2013年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月4日閲覧。

関連項目

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

ウォルビス‐ベイのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ウォルビス‐ベイのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのウォルビスベイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS