インフレ高額紙幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:40 UTC 版)
世界史上、インフレ高額紙幣が初見されるのは第一次世界大戦敗戦後のヴァイマル共和政下のドイツである。この頃乱発されたマルク紙幣はひとくくりにパピエルマルクと通称され、その最高額面は100兆マルク紙幣である。 1946年にハンガリーで印刷された10垓ペンゲー紙幣(1021、紙幣には10億兆)が、発行はされていないが、印刷された紙幣では歴史上最高額面紙幣である。発行された紙幣としては1垓ペンゲー紙幣(1020、紙幣には1億兆)が最高である。 2009年現在有効な最高額面の紙幣は、アフリカ南部のジンバブエ共和国が2009年1月中旬から2月初頭にかけて発行を行っていた10兆ジンバブエ・ドル紙幣である。2009年2月1日時点での実質的な貨幣価値は、日本円で約220円程度である。経済が崩壊状態となり、年間インフレ率が2億3100万%(897垓%という試算もある)という世界最悪のインフレが続いている同国では、2008年5月から桁数が億ドル単位の超高額面紙幣の発行が開始され、2008年7月には当時としては同国史上最高額面の紙幣となる1000億ドル紙幣が登場した。その後、1000億ドル紙幣の発行開始からわずか2週間後の2008年8月にデノミネーションが実施され、桁数を10桁切り下げた新紙幣(旧100億ドル=新1ドル)の流通が始まったため、旧1000億ドル紙幣も2008年12月をもって失効した。しかし、デノミネーションが実施された後もハイパーインフレは全く収まらず、新紙幣でも10兆ドル紙幣や500億ドル紙幣などといった超高額面紙幣の発行が繰り返されたため、10兆ドル紙幣の発行開始から約2週間後の2009年2月2日に再びデノミネーションが実施され、桁数を12桁切り下げた新紙幣(旧1兆ドル=新1ドル)の発行が開始された。なお、10兆ドル紙幣の発行開始と同時に100兆ドル紙幣や50兆ドル紙幣なども印刷され、政府系新聞などで見本が公表されていたが、デノミネーションの再実施が行われたため、これらの紙幣が一般に流通することはなかった。 ジンバブエ以外では、トルコ共和国中央銀行が2001年に発行した2,000万トルコリラ(1,521円相当=2005年1月3日現在)が現在有効な高額面紙幣の例として挙げられる。しかしトルコでは、2005年1月1日に100万分の1デノミネーションが実施され、トルコリラは6桁切り下げられた。新しい通貨を新トルコリラといい旧トルコリラと区別される。それに伴い時期を同じくして新トルコリラ紙幣(銀行券)が発行された。旧トルコリラ紙幣は2015年末まで有効かつ新紙幣に引き換え可能であるが、市中での流通は停止されている(2016年1月1日に失効)。なお、その後新トルコリラは再びトルコリラに名称を復している。
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