インディアン強制断種に対する抗議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/25 07:20 UTC 版)
「すべての赤い国の女たち」の記事における「インディアン強制断種に対する抗議」の解説
「WARN」による抗議運動の成果のひとつに、合衆国政府によるインディアン女性への強制不妊手術の撤廃がある。 第二次大戦時にナチス・ドイツが推進した優生学に基づく特定民族の強制不妊手術は、合衆国においては「インディアン民族の増加予防」を目的として、戦後もインディアン女性に対して、豊富な連邦政府資金によって「インディアン健康サービス」が行ってきた公的な施策である。 「WARN」による1974年の調査報告によると、1970年代には、インディアン女性の40~50%が卵巣を摘出され、強制断種されている。1973年から76年までの4年間だけでも、3,406人のインディアン女性が不妊手術をされている。少なくとも2人の15歳の少女は、白人医師らから「扁桃腺をとるから」と言われ、卵巣を摘出された。スー族のリーマン・ブライトマンの報告では、合衆国の優生学施政によって、70年代の10年間でインディアン女性の40%、インディアン男性の10%、総数にして6万人から7万人の間のインディアン女性が強制断種されたと推定している。インディアンの女性が保留地の医療センターに入院したとする。すると本人の承認を得ることもなく、患部でもない卵巣や子宮が摘出されるのである。 「WARN」による批判抗議の結果、1979年にようやくアメリカ保健社会福祉省はインディアン民族に対する不妊手術の規制通達を出した。しかし1990年代になってもなおこの制度は実行されていると報告されている。
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