インテルへの影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 02:45 UTC 版)
Crusoeの開発アナウンスに対しインテルは危機感を抱き、2001年低電圧版と超低電圧版のMobilePentium IIIを開発し市場に投入した。これらは、通常のMobile Pentium IIIのシリコンウェハーから、より低い電圧でも動作する優良な個体を選別した製品である。選別品である為、動作クロックは低くとも低電圧版および超低電圧版の価格は標準的な製品よりも高い設定が行われた。 その後、インテルのモバイルCPUにおいては、2002年よりデスクトップ版と同じNetBurstマイクロアーキテクチャを採用したPentium 4-Mシリーズが発表されたが、TDPに問題をかかえており本来の性能を発揮できないものだった。2003年より発売されたPentium MではP6マイクロアーキテクチャが採用され、クロックは低いものの電力あたりの処理能力の高いCPUとなった。ネットブックに搭載されているインテルのA100、Intel Atomシリーズも、Pentium Mの系譜を受け継いでおり、非常に低い電力で動作している。 一方、デスクトップCPUにおけるクロック戦争はより長く続いた。インテルのCPUはPentium 4において3GHz後半までその性能を向上させたものの、消費電力の増大に伴う熱問題から行き詰まりを見せる。クロック上昇の連続による性能向上に限界を悟ったインテルは、2005年発売のPentium Dにおいて物理CPUの複数コア化による性能向上を目指した。しかし、Pentium 4のCPUコアを流用して2つパッケージにしたために、熱問題が深刻化してしまう。そこで、消費電力が低く、熱問題が発生しにくいPentium Mに目をつけた。2006年にPentium Mを元にして改良し、デュアルコアにしたIntel Core 2シリーズを発売し、電力あたりの処理能力の高いデスクトップCPUとして発売。成功を収めたといえる。 Transmetaはインテルの企業力により業績悪化を余儀なくされ、主要事業を半導体の開発販売から開発した知的所有権のライセンス提供に移行させていった。ただ、性能の低減を抑えつつ消費電力を節減するというアイディアを持ったCPUは、当時としては画期的であり、その後のインテルのCPUに間接的ながら大きな影響を与えた。CPUのクロック周波数を高低することにより消費電力を低減するEISTというインテルの技術は、LongRun技術のアイディアと同じものであり、トランスメタは2006年にインテルを特許権の侵害で訴えている(後にインテルが金銭を払うことで和解)。
※この「インテルへの影響」の解説は、「Crusoe」の解説の一部です。
「インテルへの影響」を含む「Crusoe」の記事については、「Crusoe」の概要を参照ください。
- インテルへの影響のページへのリンク